履修ガイド



桜美林大学で学ぶこと

 

学長 畑山浩昭

 

これから本学で大学生活を始める皆さんに激励の言葉を贈ります。大学は、あなたが大きく変われる特別な場所です。これまでの人生がどのようなものであれ、これから踏み出す第一歩が、新しい自分に生まれ変わるための大きな始まりになります。このような素晴らしい学びの機会に恵まれたことに感謝して、しっかりと準備し、ひとつひとつの学びを確かなものとしながら自分の理想を追求していきましょう。

 この履修ガイドには、本学で学ぶ上で知っておくべき重要な事柄がまとめてあります。学修の高い成果を期待するには、学びの方法についてよく理解しておくことが大事です。自分の成長を実感できる学修になるように、本ガイドをしっかり読んで準備しておいてください。どのような学びであれ、基本はやはり「授業」です。本学にはかなり多くの授業があり、様々な知識や技能、経験を有する個性的な先生が揃っています。皆さんは授業を担当する教授陣の多様性に驚くことでしょう。個々の授業の目的や計画、担当の先生の経歴などを調べながら、履修する授業を組み合わせて自分の学修を計画することはかなり楽しい作業になるはずです。

 授業の受け方については、少し発想の転換や態度の変換が必要です。より主体的に、より積極的に授業に参加するということが必要になります。大学の授業といえば、一般的に、教授が講義等を通して一定の知識を伝達し、学生がそれを受け取るといったイメージがあるかもしれません。しかし、大学の授業の本来的な目的は、個々の学生が授業を通して様々な分野を学ぶことによって「より自由になること」なのです。ここでいう「自由」とは、「開放」という意味に近く、解らないことやできないことに起因する思考や行動の制限や束縛、つまり、不自由な状態にある自分を、学問の力によって解放することを意味します。新しい知識や技術を修得することによって、それまでの考え方や行動が大きく変わることは、私たちがよく経験することです。この経験こそが学問の醍醐味で、大学はそのような経験を得られる最高の場所なのです。知の力によって人間の生活を進化させることができるのです。

 あなたが自由になるためには、能動的に、積極的に授業に参加することが重要です。その際に、「問いを持って」授業に参加し、先生や友人と、その問いの答えを捜し求めるつもりで学修を進めることです。その先に、自由に思考し、行動できる自分が待っていると考えてください。先生も学生も、ある問いに対する答えを見つけるという意味では、同じ「学徒」です。先生や学友と一緒に学究に勤しんでください。幸いにも本学は、創立当初から国際的な教育環境を整えてきていますので、かなり多くの留学生が学んでいますし、皆さんが留学できる多様なプログラムも準備されています。グローバルな視点で学ぶための仕組みを整えていますので、世界的な課題や問題にも国や文化を超えた友人とともに、果敢に挑戦してください。

 大学生活の中では様々な問題や課題に直面することもあるでしょう。勉学のみならず生活上の悩みも生じるかもしれません。本学のモットーは「学而事人(がく・じ・じ・じん)」ですが、この言葉は「キリスト教精神に基づく国際人の育成」という建学の理念にも支えられています。「学んだことをできるだけ他者のために活かす、社会に還元する」という実践的な意味ですが、なぜ、これを大事にするかを考えなければなりません。自分の幸せ、他者の幸せ、あるいは広く社会の平和は、個人では実現できず、実はお互いに依存することで成り立っており、共生こそが人類に繁栄と平和をもたらすという信念に基づいたことばが学而事人なのです。他者が困っているときには助け、自分が問題を抱えている時には支えてもらい、その実践の中からお互いに学びあう姿勢、助けあう気持ちが育まれ、勉学上の、生活上の様々な問題を解決することにつながっていきます。キリスト教の精神を学び、国際的な交流を経験し、学而事人を様々な形で実践していく中で、知識や技術の修得のみならず、それよりももっと大きな学び、偉大な叡智にたどり着けるのです。

 桜美林学園は2021年には創立百周年を迎えます。1万人を超える学生、10万人を超える卒業生がいます。本学の学生や卒業生はオベリンナーと呼ばれますが、オベリンナーのネットワークは世界中に広がっています。桜美林大学の一員としてのメンバーシップを手に入れた皆さんは、これからはこのネットワークが様々な形で支えてくれます。桜美林の伝統を継承しつつ、今度は皆さんに新しい伝統を創造して欲しいと願っています。勉学に、研究に、スポーツに、文化活動に、皆さんの活躍を期待しています。

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