朝礼拝7月 2019

4月から新宿キャンパスがスタートしました。来春には、ひなたやまキャンパスもオープンします。

新しいキャンパスを作るときに大事なことは、これから何十年もその施設を使用するということを前提として、設計するということです。今のサレンバーガー館は、昔はLL館と呼んでいました。これは、Language Labを備えた建物でしたので、LL館という名称でしたが、実は、Learning and Labour のLLという意味も込めていたのです。そして、サレンバーガー牧師の献金に感謝して、名前を変えた経緯があります。

当時、LLの施設は先進的で素晴らしいものでした。語学に力を入れていたので、学生たちもよく勉強したものです。しかし、その時の先進的な施設設備であっても、やはり古くなります。デジタルの時代に入ると、いっきに使えない施設となってしまいました。

新しいキャンパスを作るにも関わらず、私たちは相変わらず、今の知識や経験に基づく定義や枠組みで、考えてしまいがちです。例えば、「教室」とか「授業」とは、どんなものかという定義を自分の中に持っていて、これから何十年も使うであろう建物の仕様についても、それを適用してしまうのです。すなわち、四角い教室で、椅子と机が何十個あって、教壇があって、白板があって、、、。

今、5Gが普及しようとしている。AIのディープラーニングの成果がだんだんと整ってくる。データの統計学のアプリケーションも、かなり発達してきている。

つまり、教育研究環境に大きな影響を与えるインフラが、大幅に変わろうとしています。これらを無視して新しいキャンパスを作っていくと、投資が無駄になり、成果も望めなくなってしまうのです。

変化の歴史の先にある未来を見添えなければなりません。例えば、先日、トヨタとソフトバンクが共同することが発表されましたが、何を見通しているのかが大事なのです。

大学も同じです。

これから大学づくりの中でキーワードとなっていくのは、インフラ、プラットフォーム、オープン、パートナー、ハブ、モビリティなどが示す意味だと思います。

一方で、改革を進めるときに、感情としては、苦労、辛抱、忍耐、我慢などがもっともっと出てくると思います。なぜ、自分だけ苦労しなければならないのか、我慢の限界だ、辛抱もここまでだ、などと思うことが続くでしょう。

でもこれは、相手や集団の中における自分のことで発生する感情なのですが、他者にあてて、考えることが大事なのです。いつかは彼も、このことに気づいてくれるだろうと信じることによる辛抱。いつかは彼女も、頑張り通す力をつけてくれるだろうと信じることによる我慢。いつかはあの人も、この意味に気づいてくれるだろうと信じることによる忍耐。

自分ではなくて相手なのです。これが受け入れられるようになると、協働プロジェクトはうまくいくようになります。新規事業のような、大変な作業は、寛容な気持ちが必要なのです。

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賛美歌 568番 朝日はのぼり

聖句 コリント1 13章4~7節


© HIROAKI H. HATAYAMA 2018