【報告】2020月2月1日(土)横浜市立並木第一小学校で世界の実物体験ワークショップを実施しました

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、小中学校・高校が臨時休校となって10日がたちました。年度末の授業や大切な行事がいつものようにできず、学校教育現場は淋しさに包まれています。大学も同様で卒業式が中止となり、残念でならない学生や保護者・ご家族を思うと、教職員も胸が痛みます。このような状況ですが、1カ月ほど前に小学校と幼稚園で実施した教育活動のご報告を3つお届けします。今回はその1つ目です。こんなときだからこそ、いつものように実践を振り返り、研究活動に励むことは、教育によって社会を支える私たちの使命であり、大事なことだと考えます。この記事が多くの人に届き、明るさや元気の小さな源になればと思います。

「世界の遊び博物館」がやってきた!

この日、訪れたのは横浜市金沢区にある市立並木第一小学校2年生(3学級・計72名)。 毎年2月のはじめの学校公開日に、2学年生活科の授業のなかで世界の遊び道具を活用したワークショップを実施しています(昨年度の活動の様子はこちら)。3回目となる今年度も大勢の保護者や地域のみなさんが参観される中、「世界の遊び道具の出張博物館」と題した楽しいワークショップを実施することができました。 これは、草の根プロジェクトが企画・実施するワークショップのメニューのひとつ「世界の遊び道具の出張博物館体験ツアーワークショップ」です。

トルコのコマ

遊びは人を学びへ導き、 物は人間と知をつなぐ

この日の遊び道具は、インドネシアの大きな鳴りごま「ガシン」、トルコやモロッコで親しまれるこま「トパチ」、そして世界各地のいろいろなけん玉です。そして、会場は各学級の教室ではなく、机や椅子などがなく広々とした視聴覚室です。こどもたちがやってきました。「おもちゃ博物館!?」「何するのんだろう!」1,2,3組どのクラスも、ワクワクやドキドキがいっぱいにこどもたちから伝わってきます。

「世界の遊びを体験できる博物館がやってきたよ!」さあ、ワークショップの始まりです。こどもたちは各体験コーナーへ訪れると、元気いっぱいに「お願いします!」と挨拶してくれました。その目はみんなキラキラと輝き、笑顔であふれています。見たこともないこまやけんだまに興味津々です。戸惑ったり、「できない」とすぐにやめて手放したりする子は一人もいません。

「未知のものや異なるものに出会ったとき、『なんだろう』『どうしてだろう』と興味・関心を抱き、自ら近づき、見て触れて知ろうとする。そんなことができる人になってほしい」それが私たちの願いです。この日のこどもたちの姿は、まさにそれでした。人間の学習は遊びから始まります。遊びは人を学びへと導く力を持っています。さらに、物は人間と知をつなぐ役割を果たします。このような遊び道具を活用したこうしたワークショップ型の学習活動は、成長・発達段階のこどもたちにぴったりです。そして、大人にも大変有効です。保護者の方々の参観される様子からも、あらためてそんな確信を持つことができました。

多言語・多文化共生の学校づくり

トルコのコマの回し方を実演して紹介する学生スタッフ
さまざまなけんだまの特徴について説明する学生スタッフ

総合的な学習の時間は小学校3学年より始まります。国際理解教育もその中に位置づけられ、他の教科の発展的な学習として教科横断的に取り組まれることがよくあるかたちです。しかし、グローバル化が急激に進む今日、日本国内も多文化・多言語社会です。各地の学校教育現場においても、外国につながるこどもたちが就学し、共に学び育つ状況です。多言語・多文化共生の学校(コミュニティ)づくりは、私たちの生活に直結した現実的な課題です。そのため、ある年齢・学年になってから学習するものではなく、日々のなかで他者/相互理解や協働・共生の力は育まれるべきものだと思います。

言語・文化が多様な同校においても、総合的な学習の時間が始まる3学年への進級をひかえたこの時期に、「すべてのこどもたちに体験重視のワークショップ型学習活動を体験させたい。その姿を保護者とも共有したい」とご依頼いただいたのが始まりです。以来、同校2学年の年間学習計画に組み込まれ、コーディネートしてくださる国際教室の先生との連携より、継続してこの授業取り組んでいます。今では、この授業以外の教育活動についても相談や情報交換を行うなど、学びあいの関係性が育まれています。まさに「草の根」レベルの協働的なパートナーシップです。これからも各地の学校/社会教育の現場と協力・連携し、よりよい学びづくりに取り組んでいきます。