【活動報告】神奈川県綾瀬市「あやせフレンドシップキッズ」最終クラス実施しました①

神奈川県綾瀬市は、同市内の米軍厚木基地(正式名称:厚木海軍飛行場) と連携し、あやせっ子日米交流事業として「あやせフレンドシップキッズ」 に取り組んでいます。同市在住の小学4~6年生でキッズに応募した子どもたちが、基地内に暮らす人々と出会い、さまざまなかたちで交流したり、彼らの習慣を体験したりします。

桜美林草の根国際理解教育支援プロジェクトは、2021年度より綾瀬市こども未来課のご依頼を受け、あやせフレンドシップキッズの研修講師をしています。「交流とは何か」を出発点に、人間のコミュニケーションのしくみやあり方、人や文化の多様性などをキッズたちが学ぶワークショップ型クラスの企画・実施の役割を担っています。また、担当の綾瀬市こども未来課への助言・指導などもさせていただくことで、同事業全体をバックアップしています。

先日、2年目の活動を終了しました。今年度は、私たちが企画・実施する全4回のキッズ研修はすべて対面で活動することができました。この報告では、2023年2月18日(土)に実施した総ふりかえり・まとめのクラスについて、子どもたちの声を中心にお伝えします。なお、交流・体験活動前のクラス(2022年8月21日・28日・9月3日)については、こちらより活動報告記事をご覧いただけます。

キッズが得たもの -ふりかえりのことば


最終回の振り返りポスター。白紙の状態からスタートし、上の写真まで全員で作り上げました。

約半年ぶりの再会でしたが、どの子も元気に挨拶してくれました。キッズたちはすっかり仲良くなんでも言い合える集団となっており、この半年間で濃密な時間と経験を共にしたのだろうなと感じました。最終回のこの日は今年度の活動すべてをふりかえりました。 私たちが夏に実施したクラス以降に行われた交流・体験活動について、キッズたちは目を輝かせながら弾む声で語ってくれました。

発見や気づきとしてキッズたちがあげたことは、 「コミュニケーションはことばだけではない」 「ことばがちがっても、わからなくても、コミュニケーションをとって仲良くなれる」といったことです。これらは私たちのワークショップで学んだことですが、きっと異文化の人々との出会いのなかで「心が通い合った!」と実感する瞬間があったのでしょう。異なる者同士が出会い、さまざまなやりとりをするなかで心が行き交い、相互に何かがもたらされる「交流」が、キッズたちのなかに見出されたのだと思います。

また、フレンドシップキッズを知らない子どもたちや市民に伝えたいことについては、「交流は大変だ」としながらも、「新しい友達ができること、いろいろな人と交流できることは楽しい」とありました。さらに、「いろいろな考えがあること、知らないことを知ることへの喜び」も注目すべきコメントでした。キッズたちが経験したすべては、どれも大きなチャレンジであったのでしょう。そして、その分、彼らが得たものも大きかったということが分かります。相手を大切に思い、自分なりに「伝えよう/理解しよう」という努力をしながら、仲間とともにチャレンジを楽しみ一生懸命取り組んだのだろうと思います。

「多様性」理解 -さまざまな人・もの・こととの出会いから

3回目の研修にて。自己紹介の練習をするキッズたち。

綾瀬市の小学生と厚木基地内に暮らす小学生が互いに行き来し、場を共にする対面での交流。これが事業のもともとのねらいであり、想定していた活動のかたちです。さまざまな制約や事情により、昨年度はビデオレターやメッセージカードの交換、今年度はオンラインでのライブ交流会。長らく続くパンデミックのなかでの国を超えた取り組みは容易なことではありませんが、できることを模索しあって実行された関係者のみなさんの協働に、まずは心から敬意を表したいと思います。そのうえで、当初、計画していたかたちに代わるさまざまな活動が実施されたからこそ、キッズたちには豊かで有意義な学び育ちのチャンスがもたらされたと思います。

基地関係者がボランティア・ゲストとしてキッズたちを来訪してくれたこと、キッズたちが基地を訪問してハロウィーンやクリスマスなどのイベントへ参加したことなど、さまざまな交流・体験活動の機会が設けられたました。その結果、同じくらいの年の子どもだけでなく、米軍基地に暮らす多くの人たちと出会い、さまざまな交流・体験活動に取り組むことができました。そのなかで、彼らは心が大きく揺れ動く経験をたくさんできたのではないでしょうか。それは、冒頭のキッズたちのふりかえりのなかで述べられた気づきや発見から理解することができます。多様な経験に対して「楽しかった、おもしろかった」だけにとどまらない、さらにその先の広く深い思考がなされていたのだと思います。また、
キッズたちにとって、ボランティア・ゲストの方の存在は、隣人やコミュニティーのために自分ができることをする参画や貢献のモデルであったのではないかと思います。

そして、基地小学生とのオンラインでのライブ交流活動にも非常に重要な意味があったと思います。キッズたちは、コミュニケーションのしくみや聴き方・伝え方、協働して物事に取り組むことを、私たちのクラスで体験的に学びました。それをキッズたちは対面ではなくオンライン交流のなかで、より一層強く意識して実践することができたのではないでしょうか。遠隔で場を共にしていなかったからこそ、画面の向こう側にいる子どもたちを思いやり、「大きな声でゆっくりはっきり」表現すること、声・視線・表情を意識して体全体で表現すること、相手に寄り添い全力で聴くことなど、自分たちが思う以上の力を発揮できたのだろうと想像されます。このこともキッズたちのふりかえりから推察することができます。オンラインならではの特長が存分に活かされた学びの環境であったと思います。

来年度にむけて

2年度目を終えた綾瀬市日米交流事業「あやせフレンドシップキッズ」。対面での本格的な実施は初めてだった今年度ですが、すでに次年度にむけて動き出しています。未来を担う子どもたちの学び育ちに、ますます貢献できればと考えています。

最後になりますが、綾瀬市こども未来課と関係各署のみなさま、今年度もありがとうございました。私ども草の根プロジェクトの活動のねらいや方法へのご理解、それをかたちにするために賜ったご協力とご尽力、あらためて感謝申し上げます。

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