2020年度が始まりました。草の根国際理解教育支援プロジェクトは活動開始23年目を迎えます。1997年、そのころ日本では21世紀を展望した教育の在り方として国際理解教育が重要な柱のひとつとして掲げられ、「総合的な学習の時間」の導入により本格的に進められようと模索されていました。それから20年、現場では教科横断的(学際的)な課題に取り組む学習活動を通じ、「国際・グローバル・多様・ボーダーレス」化が急激に進む21世紀を生きる力を育む取り組みがなされてきました。この間にはさまざまな出来事がありましたが、いくつもの「これまで経験したことがない困難」に遭遇し、立ち向かってきました。そして、今まさにそのような大変厳しい地球規模の課題とたたかっています。このような状況のなかで教育によって社会を支える私たちの使命を深く考えながら、2019年度のあゆみを振り返りました。
もくじ
- 2019年度のアウトリーチ教育プログラム
- クライアント・連携協力先
- 国際学生訪問ワークショッププログラム
- 世界の実物体験ワークショッププログラム
- 異文化協働体験ワークショッププログラム
- 世界の遊びと衣装の出張博物館プログラム
- 異文化発見キット貸出プログラム
- 2019年度に行なった初めての試み
- 他大学に対する教育支援
- 「運営メンバー」としての地域の小中学生の参画
- アウトリーチ教育プログラム教育プログラムの効果
- 学内外における反応
- 地域社会とつながる出張博物館
- 2020年度にむけて
2019年度のアウトリーチ教育プログラムの実施件数は97件となりました(このほか台風19号による影響で1件、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため2件中止となりました)。
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2019年度を振り返って-2つの「初めて」に注目して
先に述べたとおり、ワークショップの対象者のなかには大学生が含まれますが、これは本学学生だけではありません。今年度は他大学の学部生を対象としたワークショップで授業科目も支援しました。これは本プロジェクト20数年の活動において初めての実践です。対象は帝京大学教育学部で学校教員を目指すゼミの3・4年生の学生たちです。同ゼミで国際理解教育について考えている過程で、学生たち自身が本プロジェクトを見つけ出し、強く関心を抱いたそうです。
2019年度には、もうひとつ初めての試みがあります。それは11月末に実施した相模原市立富士見子どもセンターでの世界の遊びと衣装の出張博物館です。ここでは、同館の学区の小中学生10数名が本プロジェクトの「運営メンバー」として活動しました。これはこれまでの実践とは少し異なり、挑戦的な試みでした。同館は、市立中央中学校、富士見小学校、中央小学校の3校と隣接しています。そのため、小学生はもちろん、多くの中学生が日常的に利用しています。
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アウトリーチ教育プログラムの効果
本プロジェクトでは、アウトリーチ教育プログラムを実施した学外の現場担当者にアンケートを行なっています。このアンケートの中で「本プロジェクトにまた依頼したいと思いますか?」という設問に対し「ぜひ依頼したい」、「どちらでもない」「もう依頼しない」の3つの選択肢から選ぶ項目では、「再度利用したい」という回答が90%を超えました。
また、学外においては世界の遊び出張博物館プログラム(以下、出張博物館)の会場内で2016年10月から2020年1月までに計18回アンケートを実施しており、その結果を一部紹介します。一般の保護者への出張博物館への再訪に関する質問に対し、回答者のほとんどが前向きに考えているようです(詳細は以下グラフ参照)。
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引き続き継続して学内外との連携を深めてアウトリーチ教育プログラムを実施していくことで質的な向上に取り組みます。また、これに加え2020年度からの新たな試みとして、ワークショップや出張博物館において目標とする教育的な効果をSDGs(持続可能な開発目標)と関連づけることで従来の国際理解教育に止まらず、幅広い教育ニーズに対応するものとして位置付けていきます。