【報告】2020年2月8日(日)正和幼稚園で世界の遊びと衣装の出張博物館を開きました

日本、そして世界中で大変困難な状況にありますが、教育活動のご報告をお届けしています。2つの小学校での活動報告につづき、今回は正和幼稚園で開催した世界の遊びと衣装の出張博物館についてご報告します。これが草の根プロジェクトの今年度最後のアウトリーチ教育活動の実践となりました。教育によって社会を支えることが私たちの使命です。こんなときだからこそ、歩みを止めずに教育・研究活動に励むことが大切だと考えます。この記事が多くの人に届き、エネルギーの源や学びの種になればと思います。

東京・多摩丘陵にある 自然豊かな町田山崎団地。その入口にある認定こども園 正和幼稚園 (学校法人 正和学園)が今回の世界の遊びと衣装の出張博物館の活動現場です。同園での出張博物館の開催は今回が初めてですが、これまで定期的に実物資料を貸し出すこと(異文化発見キット貸出プログラム)で日々の保育活動を支援してきました。 今回の出張博物館は、同園行事「せいわみゅーじあむ」のなかでの開催です。

つながり広がる「学びのわ(輪・和)」と親子の学び

親子で一緒にトルコのコマを回す

草の根プロジェクトは幼稚園・保育園を含む学校教育だけでなく 、近隣地域の児童館や公民館をはじめとした社会教育にも積極的に支援してます。 学校教育・社会教育のさまざまな現場を訪れ 、ワークショップや出張博物館を実施すると 、こんな声をかけてくれる子どもたちに出会います。

「あっ!先生たち、学校に来てくれたよね」「この前はこどもセンターでやってくれたね!」

これまでの活動報告でもたびたびご紹介してきましたが 、今回はこのような嬉しい再会を、何組もの親子ともすることができました。 なかには今年度2カ所目、3か所目の来訪で再会したような子どももいました。

「また来たよ!今日はちがう服を着てみる!」「私はこれ!これが一番好き!またこれ着て写真撮る!」「これ何?!この前はなかったこまだ!今日、初めて見た!」

民族衣装を着せてもらう子どもたち

何度目の来場でも、同じことの体験でも、子どもたちは生き生きと体いっぱいに心から楽しみます。むしろ体験の積み重ねによって、自分なりの楽しみ方を見出しています。毎回いろいろな発見をしています。一緒に訪れる保護者もそんな子どもたちのエネルギーに圧倒されながらも、子どもたちによって楽しい異文化へと導かれていきます。その表情は子どもたち同様、生き生きとしています。そこには、家庭のなかでは決して経験できない「親子の学び」があります。草の根プロジェクトの出張博物館にひろがる親子の学びの空間は、家庭教育の場でもあるのです。

「入園してよかった!こんな体験ができる園 」

インド発祥のすごろく「へびとはしご」の虜となってしまった5歳の男の子がいました。園のお友だちとやってきて、本プロジェクトの学生と4人で「へびとはしご」で遊び始めました。すごろく遊びの要領も数の概念も分かるこどもたちは、すぐに遊び方を理解して楽しんでいました。勝敗が決まって全員のプレイが終わると、他のこどもたちはけん玉やこま、民族衣装・帽子の体験に行ってしまいました。しかし、その男の子は学生と1対1でずっと遊び続けています。いろいろなことを語りながら、新しいルールを考え出したり、ゲームの展開に笑い合ったりしています。

「へびとはしご」を楽しむ学生スタッフと親子

そんな我が子の様子を温かく見守るお母さん。エデュケーターはお話しさせていただきました。そのすごろくを家で子どもと一緒に工作して楽しむ方法、その工作活動を通して子どもができる学習や教育的効果など、家庭での発展的な活動をいろいろ紹介させていただきました。また、毎月、同園には民族服はじめ、いろいろな実物資料の貸出を通じて日頃から保育活動を支援していることも、あらためてお伝えしました。

「すごくいいことを教えていただきました!嬉しいです!なかなかこういうことできるところはないですから。これだけの物(実物資料)を所有する園や学校は普通はないですし 、こういう施設にたびたび連れて行ってもらうなんてことも大変です。それを、日常の保育のなかでも体験させてもらえるんですから、そういう園に入ったことを本当によかったなって思います。家でももちろん、よそでもできない特色ある保育や教育をしているところはやはり親としては嬉しいですし 、子どもを通して親も新しい世界に触れられます。上の子の小学校にもぜひ紹介します!『先生やりましょう!お願いします』ってお伝えします。」

来場者の声から考えたこと -特色ある教育がもたらす学びと誇り-

この保護者のことばは、とても嬉しく励みになるものでした。同時に、ここで考えたこともあります。それは、本学で学ぶ学生やその保護者にも同じことが言えることなのではないか、ということです。このようなことばをかけてもらえる、他大学にはないユニークな地域社会への参加と貢献、多様な人々への生涯学習ともいえる学びづくり。そのようなことに取り組む大学で学べること、その取り組みの一員として携わることで誰かの役に立てることで、そして自らも学び成長できること。学生たちはおおきな誇りを持つことができるのではないでしょうか。また、このような大学へ子どもを送り出した保護者にとっても、喜ばしく誇らしいことでしょうし、子どもを通じて保護者自身にも新しい学びがもたらされるのではないでしょうか。

展示した多種多様なコマ

実際に草の根プロジェクトで活動する日本人学生・留学生それぞれが、学校/社会教育現場でさまざまな人たちからかけてもらえる感謝のことば、ふりかえりアンケートや手紙を通じて寄せられる感想や気づきなどに、大きな喜びとやりがいを感じているようです。それだけではなく、学生たちはそれぞれ次への課題や目標を掲げ、取り組み続けています。私たち草の根プロジェクトは、教育活動を通じて社会貢献していくことと同時に、桜美林大学で学ぶさまざまな学生たちの学びと育ちも大事に、これからも支え続けていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です