学生は草の根プロジェクトでどんな活動をしているか
ワークショップの場合
例えば、本学へ入学したばかりの新入生を対象にワークショップでの働きかけです。世界のさまざまなコマの回し方を考えるアクティビティがあります。そのなかで、グループ内のコミュニケーションを促す声かけや問いかけをするのが、学生スタッフの大切な役割の一つです。学習者は、コマを回す方法を探るとともに、実物のコマを手にすることで、その思考が促されます。そうして得られた気づきをグループ内で共有し、さらに試行錯誤するプロセスがこのワークショップの重要なポイントとなります。しかし、学習者間の関係性の構築が十分でない場合、こうした協働が難しいことも少なくありません。このとき大切なのがファシリテーターである学生スタッフの働きかけです。「どう思う?何か思いついた?」「どうしてそう思ったの?」いったシンプルな問いかけで気づきや考えたことを引き出し、グループ内での共有を促します。さらに、「すごい!そんなこと気づいたんだ!」「えっ、あなたも?!」「ほかのみんなはどう、どう?」といった具合に、学習者たちがより発言しやすくなるよう環境づくりに努めます。ほかにも、アクティビティや学習者に合わせた働きかけでワークショップにおける学びを支援できるよう、日々ファシリテーションの力を研いています。
世界の遊びと衣装の出張博物館
世界の遊びと衣装の出張博物館プログラムでは、地域の多種多様な現場で本プロジェクトが収集した各国の遊び道具や民族衣装を実際に体験することができる空間を「出張博物館」と題して公開します。これは、体験を通じて文化の多様性に触れる機会を社会に提供するものです。ここで学生たちは、展示の設営から終了後の片付けまでに関わります。特に重要なことは、出張博物館に足を運んでくれる「来館者」のみなさんがより深く、より幅広く展示資料を体験できるよう働きかけることです。例えば、手にとって体験できる遊び道具に対し、最初のうちはためらい、なかなか触れずに眺めているような来館者が多く見受けられます。このようなときが学生の出番です。
こちらから遊び道具を手渡し、「これどうやって遊ぶと思う?」と声をかけます。すると、そうした声をかけられた方は年齢に関わらず、それまでこわばっていた表情が徐々にほぐれていきます。このように、学生スタッフは展示資料の解説や体験の説明をするだけではありません。来館者一人ひとりに目を配り、気を配り、心を寄せる働きかけをします。興味を引き出すよう問いかけたり、しばらく一緒に遊んだり、遊んでいる様子を見守るなどのサポートをすることで、来館者の体験をより豊かなものになるよう支援するのです。
今回は実物を活用したアウトリーチ教育プログラムにおける学生の活動をご紹介しました。これらの活動には出身を問わず日本人、留学生がともに参加し協力して活動しています。
次回は「国際学生訪問ワークショッププログラム」、「異文化協働体験ワークショッププログラム」をご紹介します。これらのプログラムでは、留学生が貴重な学びのリソースとして活躍しています。異なる文化的背景をもっている彼らがいるからこそ可能な地域貢献といえるでしょう。どうぞご期待ください。