【近況報告】2021年度も頑張っています!学内編

桜が美しい私たちのキャンパスも、気づけば蝉たちの大合唱に包まれています。2020年1月以来続く新型コロナ感染症とのたたかいが、これほどまでに長く厳しいパンデミックになるとは、どれだけの人が予測していたでしょうか。おそらく多くの人々の想像をはるかに超えるようなインパクトではないかと思います。

このようななかでも、私たちは人間の学び育ち、生きる力を信じています。私たち草の根プロジェクトだからこそできる学びづくりを追及しています。2021年度8月までに取り組んだ活動について報告します。

桜美林大学 授業科目への教育支援

ワークショップおよび実物資料の貸出による方法で各授業科目に応じた支援を実施しました。ワークショップは、学習者・依頼者(学生と担当教員)が一堂に会して実物資料の体験を共にする従来型のリアルな対面によるものではなく、学習者・依頼者それぞれとオンライン会議システム(Zoom)でつながって実施するオンライン型を軸に実施しました。また、実物資料の貸出は、感染症の感染予防のため、2021年度も学内授業科目にのみ限定しています。

ワークショップ型による教育支援

「リベラルアーツセミナー」
4月中旬~6月上旬 リベラルアーツ学群(以下、LA学群)初年次必修科目(21クラス:計320人、学士課程1年次学生・学群教員)

本学での学びを始める新入生対象の必修科目です。大学での学びを支える基礎的なアカデミックスキルを学習しつつ、一方では学生の関係性づくりを後押しするクラスです。本来であれば、学生と担当教員が来室してもらい、実物資料を用いた協働的な活動を組み込んだワークショップを通じて、多様性の理解と協働、また批判的思考について学びます。昨年度に引き続き、今年度もオンラインで実施しました。本プロジェクトとあわせて実施される学園史を学ぶ資料展示室が見学できないことも考慮し、本学園誕生の歴史や教育理念などと関連づけながら本プロジェクトについて紹介しました。また、実物資料の体験については、個人やグループで取り組むクイズ型アクティビティを組み込み、オンラインであっても対話ができるよう工夫しました。

「生涯学習概論」
LA学群博物館学専攻・博物館学芸員課程(計30名学士課程1~3年次学生)

  • 博物館学を専攻するLA学群生、および博物館学芸員(国家資格)を目指す様々な学群の学生を対象にした必修の講義科目です。人間の学びとは何か、それを支援する教育(=学習支援)とは何かといった本質を学びます。多様な人の多様な学びを様々な観点から理解するため、同科目では学内外におけるフィールドワークやワークショップなどの体験的な学習活動を組み込んでいます。そのような体験重視の活動が難しい状況下を逆手に、オンラインによる学びづくりを学ぶ機会と位置づけ、オンラインワークショップや動画リソースを活用したリサーチ活動を実施しています。今学期もオンラインという特徴を活かし、視覚と聴覚に集中するアクティビティを組み込んだワークショップを実施ました。使用した多様な楽器について、「よく聞こえない」「見たいようにじっくり見られない」といった不完全な状況が生じます。しかし、それは想定内のことです。学生が視覚や聴覚に不自由な方の立場や気持ち、学びに参加できない=保障されないとはどういうことかを理解する絶好の学びのチャンスです。

ほかに以下の2科目においてもオンラインで支援を行なっています。

「博物館教育論」
LA学群博物館学専攻・博物館学芸員課程(計57名学士課程1~3年次学生)

「あそびと生活」
健康福祉学群(計30名、保育専攻3〜4年次学生)

博物館実習で使用した実物資料

実物資料の貸出による教育支援

実物資料の貸出は、昨年度に引き続き、本学授業科目に限定して行っています。感染拡大予防の対策として、しばらくは学外への貸出は休止します。なお、再開にあたっては、本ホームぺージでお知らせします。

博物館学芸員課程「学芸員実習」(対象:学士課程3・4年次学生 4クラス)

  • 博物館学芸員(国家資格)を目指す学生たちを対象にした実習科目です。同課程における仕上げの科目で、学芸員に必要な様々な実務技術を学ぶため、本学では数十もの実習プログラムがあります。そのなかで、実物資料の梱包技術を学ぶ実習、展示解説(口頭表現)の技術を学ぶ実習、「やさしい日本語」でハンズ・オン展示のキャプションをつくる実習、ハンズ・オン展示による体験型博物館をつくる実習を支援しました。いずれのクラスのプログラムも、本プロジェクトの実物資料があって初めてその学びが実現できます。他大学の学芸員養成課程にはみられない、桜美林大学ならでは教育活動です。

LA学群・健康福祉学群初年次必修科目「アカデミックプレゼンテーションⅠ/口語表現Ⅰ」(対象:学士課程1年次学生2クラス計40名・教員1名)

  • スピーチやプレゼンテーションなどアカデミックな口頭表現の理論とスキルを実践を通して学ぶ演習科目です。コミュニケーション教育を重視する桜美林大学で30年以上に渡って行われています。言語(ことば・内容構成など)と非言語(声・視線・表情・身振り手振りなどいわゆるノンバーバルコミュニケーション)の両方のスキルを育成するには、対面での実践的な活動が有効であることは間違いありません。従来のようにその学習環境が作れない今日、いかにオンラインで対面授業にも劣らない学びづくりを同科目の教員チームは研究してきました。そのなかの一部のクラスで、実物を活用したコミュニケーションのアクティビティを実施しました。

多様な分野で実物資料を活かす幅広いアプローチ

オンラインワークショップで活用した実物資料の一部

草の根プロジェクトが有する実物資料は、世界各地の人々の暮らしを理解する学びを支える多種多様なホンモノばかりです。このような資料や私たちの名称から、「世界を知る」「国際理解」「民族・民俗文化」といった分野・テーマの学習/教育のためのリソースであると認識されます。しかし、実際には、もっともっと広い捉え方が可能で、その活用のしかたは無限大です。それが、この報告からもお分かりいただけるのではないかと思います。

私たちの実物資料は、多様な背景の多くの方々の思いにより集まったものです。四半世紀に渡って集められたその数、実に3000点を超えます。これらはハンズ・オン(学習者が手にとり、体験することができる)で活用することができます。さらに、豊かなコレクションを活用した地域の教育支援活動にも取り組んでいます。私たちは学生たちと共に、モノにチエとワザを注ぎ込み、さまざまなかたちで多くの学びづくりを支えてきました。

その活動が学外でも広く認知され、「多くの人の学びと育ちに役立てもらえるなら」と、大切な思い出の資料を寄贈してくださる学外・国外の方もいます。資料に宿る世界中の人々の思いを大切に、これからも草の根プロジェクトならではの教育支援活動に取り組んでいきます。

今回は2021年度春学期の学内の教育活動に対する支援活動についてご紹介しました。次は、学外の教育現場への支援をご紹介します。

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