【報告】新しいワークショップで応援!青梅市の子どもたちにオンラインワークショップを実施しました[前編]:2020年7月18日(土)

青梅市教育委員会が昭和62年より市内の児童・生徒を対象に通年講座として開催している国際理解講座。本プロジェクトは、2015年度から講師依頼を頂き、ワークショップを実施してきました。新型コロナウイルス感染症の影響により、講座の開催自体もどうなるか心配された今年度ですが、ZOOMを用いたワークショップを開催しました。例年同様、各回小学5年生のクラスと小学6年生から高校1年生までのクラスを対象に実施したワークショップを前後編に分けてご紹介します。

初めてのオンラインワークショップ

本プロジェクトは、この春、学内授業科目に対してオンラインでのワークショップを計22件実施していましたが、学外の教育現場に対して実施するのは同講座が初めての試みでした。そんな私たちの提案に、同講座ご担当の先生が賛同してくださり、実現に至りました。6年目となる今年度は、同講座開講初日の7月18日(土)、翌週25日(土)の2週連続でクラスを担当しました。

「あそび」から学ぼう!

初日の7月18日、子どもたちは世界のあそびを通して、グローバル(global)とはどういうことかを学びました。この日、用いたあそびは「すごろく」のなかまたちです。

  • 「蛇とはしご(Snakes and ladders )」インド発祥のすごろく遊び。今日では世界各地でひろく親しまれている。近年、日本では小学校の外国語(英語)活動や英会話教室などでも扱われており、子どもたちにもなじみがある。
  • 「ユンノリ(윷놀이)」 朝鮮半島で古くから楽しまれているすごろく遊び。ユニークなのは、さいころではなく4本の棒を使うこと、プレーヤーの持ち駒が4つであること、相手の駒の動きも読みながら競い合うこと。
  • 「パチシ(पचीसी/pacīsī)」 インド発祥のすごろく遊び。十字型のすごろくボードが特徴的。また、ユンノリ同様、プレーヤーの持ち駒は4つであることも面白く、自分以外のプレーヤーの駒の動きを常に見ながらゴールを目指す。
  • 「ルド(ludo)」インドのパチシが原型と言われているイギリスの国民的なすごろく遊び。イギリスを通じて世界各地に広がり、親しまれている。 地域ごとにルールがアレンジされ、その多様性が魅力的。

上記4つ、それぞれの特徴や遊び方を読み、何か気づくことはありませんか?そうです!それが今回の学びのポイントです。

「すごろく」と言っても、形状や遊び方はいろいろなものがあります。自分の「すごろく」が当たり前ではないということ、つまり、「多様性」について子どもたちは気づきます。また、異なる国・地域にあるすごろく遊びのなかに、同じことや似ていることが見出すことができます。

自分(自文化)を基準に他者(異文化)をみると、どうしても相違点ばかりに注目しがちですが、文化を比較すると共通点や類似点も見つけることができます。「相違点・共通点・類似点を発見する比較文化のおもしろさ」を子どもたちは異なるすごろく遊びから学びます。そして、地球上の各地でさまざまなすごろく遊びが楽しまれていることから、「人間には必ず普遍的なことがある」ということにも気づきます。さらに、相違点・共通点・類似点を有するすごろく遊びが各地にあるということを通じ、人間の移動によって生まれたさまざまな交流があり、人間は他者とわかちあう生き物であるということを理解することができます。この「交流」や「共有」というのは、私たち人間の不変的で本能的なことです。

「ユンノリ 」の棒を題材にしたクイズ

「この棒は何に使うと思う?」
クイズの答えは3択、意思表示は全員がジェスチャーで発表
韓国の「ユンノリ」 の遊び方紹介

ワークショップのねらい

「多様性」の理解、「相違・共通・類似・普遍性」の発見、「交流や共有」への気づきといったこれらのポイントは、今日のグローバル社会で生きるために備えておくべき視点です。それでは、この大切な視点を養っていくには、どうしたらよいでしょうか。その鍵となるのは「聴く」ということだと、本プロジェクトでは考えています。

これは、一人の人間が持つあらゆる力 「耳(きく)」「目(みる)」「心(感性・思考)」を集結させ、全力で他者や物事に向き合い、取り組むということです。私たちは、この「聴く」ということを「足し算(+)」と表し、子どもたちに伝えています。全力で足し算してできた「聴く」を一人一人が持って参加・参画しようということを、「掛け算(×)」と表して「協働」の考え方の基本を伝えます。この「聴く」ことと「協働」は、頭ではその意味や大切さを理解できますが、その力を身につけるにはやはりリアルな実践が必要です。

そこで、2回目は留学生との活動をプロラムに組み込みました。いよいよ留学生メンバーの登場です。この続きは後編として次回の投稿でご紹介します。どうぞお楽しみに!