【報告】世界の実物体験ワークショップ(相模原市立向陽小学校サマースクール):2019年7月24日(水)

2019年7月24日(土)相模原立向陽小学校のサマースクールの一講座として、世界の実物体験ワークショップ・プログラムを実施しました。同校のサマースクールは地域の協力も得て、普段の授業ではできないようなさまざま分野の体験活動を子どもたちに提供するものです。2013年度に初めて依頼を受けて以来、今年で5年目となりましたが、昨年度は大変な猛暑により中止となったため、2年ぶりの実施となりました。

アウトリーチ教育プログラムで実施するワークショップは、通常エデュケーターが企画・実施・活動の進行を行います。しかし、今回は、普段サポート役として活動する学生スタッフがその役割に挑戦しました。エデュケーターの指導のもと、6月よりミーティングと個人練習を重ね、この日に臨みました。この日のワークショップは、世界のコマを使ったグループ・アクティビティ、インドのすごろく「へびとはしご」体験・工作で構成した90分のワークショップです。

現場でワークショップを実施した3名。このほか、2ヵ月間ともに企画に取り組んだ学生がもう一人います。4人で試行錯誤を積み重ね、議論しあい、助け合い、ひとつのワークショップを形にすることができました!

今回、私たちのクラスに参加してくれたのは、1年生から4年生までの11名の子どもたち。みんな早くから集合し、とても楽しみな様子でした。同校のサマースクールに限らず、私たちが企画・実施するワークショップは、子どもたちの発達段階に応じた対応や配慮ができるよう、参加対象学年と定員を設定し、事前申込制で行っています。

さあ、ワークショップの始まりです!多様な子どもたちが楽しく活動できるよう、学生たちは「聴く+協働」を伝えます。これは草の根プロジェクトがいつも必ずワークショップで子どもたちに伝える学習目標です。そして、もうひとつの学習目標である「多様性の理解」は、活動するなかで学生たちが子どもたちへの関わりや働きかけを通して、その気づきをさりげなく促していきます。これらの学習目標は、対象者やワークショップのテーマ・内容を問わず、私たちが国際/異文化理解の学習目標として掲げ大切な柱です。

「みんなでがんばること!」と学習目標の「聴く+協働」を合言葉に、いよいよ活動スタートです。まずは、世界各地のいろいろなコマの回し方クイズです。 子どもたち自身の力でコマの遊び方を考えるアクティビティなのですが、グループにコマと付属の道具を2セット配るのがポイントです。一人一点のコマでは個人作業となり、子どもたちはそれぞれ自分の世界で夢中になってしまいますが、コマを共有しながら活動することによって、他者との協働、語り合いや聴き合い、つまり「聴く+協働」というねらいが自然と行われることになります。

「 この棒、なに?ひもと一緒に使うって、どうやって?」 未知のコマとの出会い、試行錯誤のチャレンジの始まりです!
グループの子どもたちは知恵をしぼり、語り合い、何とかしてそのコマを回そうと一生懸命です。

回し方をたくさん考え、いろいろ試した子どもたち。一瞬たりとも見逃すまいと、 学生のデモンストレーションに子どもたちは全神経を注いで聴きます。そんな子どもたちを前に、学生たちも一生懸命です。子どもたちの発達に合わせた配慮や工夫をたくさんしながら伝えます。 小学生の子どもたちの発達は、たった1学年でも非常に大きな差がありますし、同じ学年であっても発達には個人差もあります。 そのようなことを十分に理解し、さらに現場では子どもたち一人ひとりの性格や特性(マルチ能力)などをつかみとり、活動を進めていかないとなりません。

インドネシアのコマの遊び方を説明する学生と一生懸命に聴く子どもたち。一体感が伝わってきます!

学生は子どもたちに問いかけながら、コマを回して見せます。そうすることで、子どもたちは「説明してもらう」存在ではなく、主体的に考えて一緒に活動する参加者となります。一方、学生は外国のめずらしいコマを紹介する単なる伝達者ではなく、子どもたちの学びのファシリテーター的存在であり、共に学ぶ仲間のような存在でもあります。学生が果たす役割は、コマの回し方を実演するだけではないのです。自分の手を使ってじっくり物に触れたり、さまざまな角度から注意深く観察したりして、その物の特徴を見つけ出すこと、自身の感覚を通じて得た情報を頼りにコマの回し方を試行錯誤しながら考えるといったこと。このような思考のプロセスを学生たちは実践しているのです。いわば「学びのモデル」です。

「ここをよく見て。何がある?」 学生の問いかけに耳を傾け、考えながら、コマの回し方を学ぶこどもたち。子どもたちと学生の協働により成り立つ活動です。

遊ぼう!作ろう! インド発祥のすごろく「へびとはしご」

「コマは日本の遊び文化。日本にしかないもの」と、なんとなくそんなふうに考えていた思い込みがくずれ、コマを通して多様性の理解がほんの少し体験できた子どもたち。次の活動はすごろくです。今回はインドがその発祥だと言われている「へびとはしご」です。「こんなすごろくもあるんだ!すごろくもいろいろだね」そんな気づきとともに、子どもたちはあっという間にこのすごろくのエキサイティングな魅力にはまっていきます。

「わぁ~!ここに止まったら、こんなに戻っちゃうよ~!このへびにあたりませんように!!」子どもたちと遊び方をおさらいしつつ、このすごろくの魅力を自然に伝えます。

はしごとへびに翻弄され、一喜一憂する子どもたちの声が教室中に響き渡ります。その面白さを味わったところで、それぞれオリジナルの「へびとはしご」シートを工作します。これがこの日の最後の活動です。 同じ遊びを一緒に体験したのに、感じて創りだすアイデアは十人十色。みんなそれぞれです。

「へびとはしご」を十分満喫した子どもたち。オリジナルのシートを工作します。子どもたちの「もっと遊びたい!」という大きくふくらんだ興味に応える発展の活動です。

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