【報告】国際学生訪問ワークショップ 近隣市内小学校で実施しました

今年は異例の早さで梅雨明けした影響から、日本列島はいまだかつて経験したことのない猛暑に襲われています。「命に危険を及ぼす暑さ」と表現されるほど厳重警戒がなされています。一方で、記録的な大雨により、近畿や四国を中心とした西日本各地では、土砂崩れや河川の氾濫などが相次ぎ、甚大な被害が出ました。被害にあわれた皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。このような自然の驚異にさらされる今日、気象や自然環境といった問題は世界全体で立ち向かう課題だと言えるでしょう。私たちの日常には、国際理解教育の必要性を考えずにはいられないさまざまな出来事が絶えず起きています。

さて、「平成最後の夏休み」。小中学校・高校に続き、桜美林大学でも夏休みを迎えるところです。少し前のことになりますが、今学期後半に実施した国際学生訪問授業ワークショッププログラムについて報告します。このプログラムは、草の根プロジェクトに賛同した有志の本学留学生がエデュケーターと共に学校/社会教育の現場を訪れて行う交流学習です。世界各地の文化について様々な切り口から楽しく知るアクテビティに取り組みながら、異文化理解の素地となる力「聴く」そして「協働」をみがくワークショップです。今回訪問した3学年および6学年の教科学習と関連しながら、本ワークショップの意義について考えてみます。

①6月14日(木)町田市立木曽境川小学校3年生 6校時(45分間)

留学生の言葉でじゃんけん大会

同校では12年前より国際学生訪問ワークショッププログラムを実施しています。本プロジェクトのアウトリーチ教育プログラムを活用した国際理解教育が毎年恒例の教育活動として行われています。

【3学年の学習】

社会科、そして総合的な学習が始まる小学校3年生。国際理解の学びも本格的にスタートします。小学校の社会科では、自分の暮らす地区や地域への理解から始まり、その範囲を町/市、都道府県、そして日本全国へと広げていきます。そのなかで、「このまちには、どんな人たちがいるのだろうか。どんな人たちと共に暮らしているのか。どんな思いを持って、どんなことをしているのだろか」といった具合に「人」に注目します。3年生の子どもたちは、自分たちの生活やまちを支えてくれている様々な人の存在に気づきます。そのとき、それは「共生」や「協働」などに触れ、その学びを始めるきっかけにもなります。このような段階で、国や言語・文化的背景が異なる人々と出会うことは、大変リアルで有意義な体験です。その出会いにより、「多様性の理解」や「多言語・多文化共生」を考えていく高学年、さらに中学・高校での学びの出発点になることでしょう。

②6月27日多摩市立大松台小学校6年生 3,4校時(10:20〜11:40)

これから始まる留学生のクイズに興味津々で耳を傾ける子どもたち

同校では授業時間を調整していただき、80分間のワークショップを企画・実施しました。年間を通じ、国際理解の学習活動を取り組んでいきたいということで、そのスタートとして依頼がありました。

【6学年の学習】

総合的な学習4年目となる6年生。それまでの3年間でさまざまなトピックや方法で学習してきた経験があります。この頃になると、子どもたちの興味・関心は大きく広がり、世界という概念をしっかり持っています。グローバルで情報にあふれた現代に生きる今日の子どもたち。世界の国々や人々に関するあらゆる情報を見聞きします。大人の話や考えも理解できるようになり、周囲の人たちからも学習します。そのようななかで、国・人・物事などに対するある特定の捉え方「ステレオタイプ」が、気づかぬうちに備わっていきます。これは、自分自身の目で見たり、耳で聞いたりするなどの実体験をもとに、心や頭で深く思考して得られた情報ではないのに、「みんながそう言っているからそうである」という価値判断です。ともすると、無理解、差別や偏見を招いてしまう恐ろしいものです。このような自身の思い込みに気づくには、やはり人間同士のリアルなコミュニケーション活動が有効です。本プロジェクトの留学生メンバーの母国や日本での生活にもとづく、さまざまなカルチャーショックの実体験を聴きます。子どもたちは、全員参加のクイズで楽しみながら、言語・文化的背景が異なる人たちが日々感じていることや置かれた立場を知るとともに、自分自身が持っていた思い込みや自文化中心の考え方・見方に気づきます。道徳・人権教育などとも関連させた発展的な学習活動の助けにもなると思います。このワークショップを起点に学習をすすめることは、子どもたちの心を揺さぶるものとなるでしょう。

 

2学期以降に国際学生訪問ワークショップの実施をご検討されている学校/社会教育などの現場の皆様、お早めにお問合せのご連絡をお願いいたします。なお、本学は9月下旬より秋学期(後期)が開始となり、実際に訪問が開始できる時期は10月半ば以降となります。あらかじめご了承ください。

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