あたたかい春がやってきました。凍える寒さが続いていた冬の日々が、まるで遠いことのようです。1月には大雪に見舞われた本学町田キャンパスですが、3月になると桜のつぼみが一気にふくらみ、新年度を待たずに満開を迎えました。
そんな桜が散り始めた3月の終わり、本学ビジネスマネジメント学群を卒業したジェイソンさん(マレーシア出身)が最後の挨拶にやってきてくれました。彼は、マレーシアの高校を卒業し、日本の日本語学校で1年間日本語を学んだのち、先輩も友人も誰もいない本学へ入学しました。入学してすぐ、彼は私たち草の根プロジェクトの情報を手に入れて仲間となり、卒業するこの春までメンバーとして精力的に活動してくれました。
「桜美林大学に来て、何が一番よかった?」ジェイソンさんに改めて尋ねてみました。「いろいろあるけれど、一番は、いろいろな人と出会えたこと。」彼はそう話してくれました。彼は、言語や国籍・出身、学内での所属・立場(学群/交換留学/留学生別科)などの違いを超え、いつもいろいろな人とつながり、やりたいことを思い切りやり、チャレンジし、いつも本当にいきいきしていました。彼を通じて、多くの留学生が本プロジェクトを知り、共に仲間として活動してくれました。彼のおかげで、草の根プロジェクトは、魅力的な人間力や個性を持った学生が集うグローバルな集団となりました。そうして、地域のこどもたちのために、みんなで協働し、たくさんのおもしろい活動を創りあげてきました。
そんなジェイソンさんが、この日、ある物を寄贈してくれました。それは、本プロジェクトのワークショップや出張博物館でも大人気の「マンカラ」です。これは、日本ではあまりなじみのないものですが、アフリカ、中近東、東南アジアなど各地で古くより親しまれているボードゲームです。ジェイソンさんの故郷・マレーシアでも楽しまれているそうで、実際に友達と遊んでいたボードを譲ってくれました。マンカラの遊び方やルールは実にさまざまで、100種類以上ともあるとも言われています。昨年度末に開催した出張博物館の報告でも少し紹介していますが、いずれ動画ギャラリーで遊び方をご紹介できればと思っています。
さて、ジェイソンさんが、帰り際、草の根プロジェクトでのこれまでをふりかえり、こう語ってくれました。「自分の興味のままに、やりたいからやっていた。それだけです。たくさん勉強になった。だから、全然大変と思わなかった。いつも楽しかったです。」もうじき新年度の活動をスタートします。彼のような素晴らしい学生に出会えることを楽しみに、新年度もよりより教育活動を展開していきたいと、心を新たにしました。
貴重な資料を寄贈してくれたジェイソンさん、どうもありがとう。これまでたくさんのエネルギーと時間と知恵を注いでくれました。世界中のたくさんの仲間も作ってくれました。本当にどうもありがとう。巣立ちゆく学生を見送るとき、私たちがいつも願うことがあります。草の根プロジェクトでの経験すべてが彼/彼女らの糧となり、それぞれの未来と彼らの母国に何かしらのかたちで貢献できれば嬉しく思います。