【報告】2018年2月15日(木)相模原市立富士見小学校で「スーホの白い馬×モンゴル理解」ワークショップを実施しました

この時期、日本の多くの小学校で「スーホの白い馬」が学習されています。この物語はモンゴルで語り継がれる大切な民話ですが、もう何十年にも渡って2学年の国語科の教科書(光村図書)で扱われています。そのため、このお話がモンゴルを知るきっかけになったという方も大勢いらっしゃることでしょう。
草の根プロジェクト所有の馬頭琴

さて、今回、その「スーホの白い馬」の学習の入口として、子どもたちが物語の舞台であるモンゴルを理解することができるようにということで世界の実物体験ワークショップを行いました。その対象は相模原市立富士見小学校の2年生(4学級およそ140名)です。同校での「スーホの白い馬×モンゴル理解」をテーマにしたワークショップは、昨年度にひきつづき2度目です。昨年度の活動が校内で共有され、「今年度もぜひ!」ということでお話をいただきました。

まず、前半はエデュケーター2人による全体授業です。しかし、そこは草の根プロジェクトです!「講師の話を子どもは静かに聞く」そのようなよくあるレクチャー型の授業はしません。私たちが行う授業は、子どもたちとのキャッチボールがあって実現する参加型学習です。「どの子もみんながわかって楽しめる」ことを目指し、私たちは「やさしい日本語」で語りかけています。そして、ことばだけでなく視覚も大切にします。写真やイラストをふんだんに使った映像資料、そして、何と言っても本プロジェクトが誇る「ホンモノ」です!

全体ワークショップの様子(写真提供:富士見小学校)

本物の馬頭琴や伝統の服・帽子(デール、マルガイ)を見せるやいなや、子どもたちからは驚きや感激の声が湧き起こりました。また、私たちのワークショップでいつも大好評なのが、すべての子どもが平等に参加できるクイズです。「自分の考えを表明する」ことは、一人の人間、地球市民として大切なことです。その楽しさや面白さを子どもたちに実感してほしいと私たちは考えています。この日も、日本の子も、外国につながる子も、日本語が母語でない子も、みんなが笑顔で参加してくれました。子どもたちの注目のまなざし、耳を傾ける姿、自然に交わされることばのキャッチボール。140名の子どもたちの好奇心はとても大きなエネルギーになりました。ちなみに、この日のクイズやお話の多くは、これまでに草の根プロジェクトで活動してきた多くのモンゴル人留学生たちの協力によって蓄積されたチエ・ワザです。

 

そして、後半は学級に分かれて、前半の全体ワークショップのふりかえりをしつつ、馬頭琴や伝統服をはじめとした実物資料の体験です。本プロジェクトが持つ世界の実物資料は、すべてハンズ・オン教材です。間近でじっくりと観察し、自分の手で触れ、実際に体験するからこそ、馬頭琴の大きさや形、材料や質感、そして音色がわかります。自分の五感で感じる体験こそ、人の学びの原点だと考えています。また、ハンズ・オン展示によるこのような学習活動は、さまざまな知的欲求や学び方に応え、豊かな感情体験を生み出し、思考を促します。

草の根プロジェクト所有のシャガイ(羊の距骨)
シャガイで遊ぶ子ども(写真提供:富士見小学校)

エデュケーター2人がそれぞれ各学級をまわり、子どもたちは馬頭琴に触れて音を奏でたり、伝統服と帽子を試着してみたりしました。この日の子どもたちは、誰一人ためらうことなく、140名の学年全員の子どもたちが実物体験をしました。「手を出さずに見ているだけ」というような子どもが、本当に一人もいなかったのです!自分とは違う、あるいは未知の人・もの・ことに出会ったとき、このように興味を持って、自ら触れて知ろうとすることは、他者理解・相互理解への第一歩です。その感性はとても素晴らしいものだと思います。

ゲルのミニチュアやゲルの形を再現した箱を見る子どもたち(写真提供:富士見小学校)

同校の2年生の子どもたちは、「スーホの白い馬」の単元に入って1,2時間ほどと、まだお話に入ったばかりだったということです。今回のワークショップでのさまざまな体験や気づきが、今後の「スーホの白い馬」の学習に活かされたら非常に嬉しく思います。そして、子どもたちのことばと思考の育ちにつながっていくこと、さらに、自分も含めた仲間の多様性とその豊かさに気づき、健やかに育ってくれることを願います。

★1月中旬~3月上旬は「スーホの白い馬」の学習の時期であるため、例年、馬頭琴をはじめとしたモンゴル理解につながる実物資料の貸出実物資料を活用したワークショップのご依頼が重なることがあります。ご希望の場合は、余裕をもってお早めに(できれば年内のうちに)お問合せください。

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