相模原市には32の公民館があり、日本でも公民館活動が大変活発な地域です。各館では地区の特性や住民の力を活かした取り組みが行われています。
さて、先日12月16日(土)に田名公民館(相模原市中央区)で小学校高学年を対象に開かれている通年講座「青少年おもてなしカレッジ」の1コマ(2時間)でワークショップを行いました。同講座は「基礎・中級・上級」と3年に渡ってレベルアップしていくもので、草の根プロジェクトは同講座開講より留学生と協働する「異文化協働体験ワークショッププログラム」を実施することで支援してきました。
いろいろな「おもてなしのプロ」の方から、これまでさまざまなおもてなしの精神やスキルを学んできた子どもたちへ投げかけました。「オリンピックがあるから「おもてなし」?海外からたくさん来るお客さんにだけ親切にするのかな。」
相模原市には12,000人以上の外国籍住民が暮らしています。さらに、日本の国籍を持っていても外国につながる人もたくさんいます。その数は絶えず増え続け、相模原市を支える大きな存在です。つまり、相模原市はグローバルな地域なのです。日頃から多様性の理解と協働・共生が求められるなかに、この日の子どもたちは暮らしています。
自分たちの暮らす地域の現状を知った子どもたちへ、留学生からクイズでふるさとの紹介です。迷信、ジェスチャー、礼儀・マナー、ルール、習慣など、さまざまな切り口から、子どもたちは「文化」について学びました。文化とは、言い換えれば「あたり前」のようなものです。国や地域、民族により、それぞれの当たり前があります。「あたり前のことをしない人やできない人がいたとしたら、『もしかしたら違うのかもしれない、知らないのかもしれない、困っているのかもしれない』って、考えてみよう。」
緊張がほぐれてきたところで、いよいよ留学生とのグループワークです。まずは、本プロジェクトでいつも大好評のアクティビティ「触察伝言ゲーム」です。字のごとく、手で触って物を調べ、収集した情報を共有していない相手(触察していない留学生)に伝ます。視覚を遮断し、黙って静かに触察することで、子どもたちは触覚に意識を集中させます。そして、触察でわかったことを留学生へ伝えるとき、子どもたちには多くの力が求められます。相手を見て、声の大きさや話すスピードに気をつけたり、ことばを吟味したり、体を使って表現したりするなど、精一杯工夫しなければなりません。伝えられる留学生にも、確認や質問を返すなどの「聴く」力が必要です。彼らはリアルな協働を体験します。
次に、ここで少しブレイクです。といっても、交流活動はしっかり行われます。韓国の伝統的なすごろく遊び「ユンノリ」を韓国人学生の紹介を受け、各グループで楽しみました。少し前までは緊張してガチガチだった子どもたちですが、みんなすっかり笑顔で元気な声で話したり笑ったり。心をひらいてくれた子どもたちと留学生は、まるで本当に近所のお兄さん・お姉さんと遊んでいるようです。
最後は、みんなの「聴く」力をかけ合わせ「協働」するアクティビティにチャレンジです。リレー書道は、全員参加で一人一画書き、ひとつの文字を完成させる活動です。一画でも欠いてしまえば、その字は成立しません。これが「協働はかけ算」という意味だと、みんなで納得しました。前に書かれたところをよく観る、後に続く人のことを考える、自分なりに最善の一画を書く。お互いに思い合い、一生懸命考えます。また、一人では大変なことや苦手なこともみんなで分担・協力することで、勇気を持って取り組める。そんなことも子どもたちと共に実感することができました。
このように異文化協働体験ワークショッププログラムでは、留学生が母国の言語・文化を指導・紹介する形式的な出会いではなく、人と人として出会い、お互いに耳を傾け、協働するリアルな異文化コミュニケーションをします。人として向き合い、互いの差異を受け止め、多様性を真に理解することを目指す学びです。公民館をはじめとした社会教育施設で開かれる講座や教室、小中学校・高校の授業などで、今後も積極的に活動していきます。