草の根プロジェクトは桜美林大学の授業も支援しています2:「生涯学習概論」2019

本プロジェクトのアウトリーチ教育プログラムの支援は、地域(学外)だけでなく、学内の教育活動もその対象です。本プロジェクトは、桜美林大学の授業をはじめとした教育活動に対しても、さまざまなアウトリーチ教育プログラムを実施しています。対象となる学生、授業科目の分野・目的は多様で、それぞれに応じたワークショップを企画・実施し、より豊かな学びづくりをサポートしています。

本学リベラルアーツ学群には、国内の大学では大変めずらしい博物館学の専攻プログラムがあります。また、本学には教職課程と博物館学芸員課程があり、教員や学芸員を志す学生たちもいます。「生涯学習概論」は、 「学びとは、学ぶことと生きることとは、人の学びを支援するとは」を考える学問で、博物館学専攻や教職・学芸員課程の学生たちを中心に、学年・学群(学部)・専攻など多様な背景の学生たちが履修し、学習しています。草の根プロジェクトは、この生涯学習概論のクラスを毎学期いろいろなかたちで支援しています。

フィールドワークの調査現場として:  「生涯学習」について学習していくうえで、社会教育施設である博物館について、その基本的な概念を理解しておかねばなりません。 草の根プロジェクトは「博物館」や「ミュージアム」といった名前こそついていませんが、実際には博物館的機能を果たし、学内外のさまざまな現場で多様な人々の学びを支援してきました。 博物館を構成する三要素である「もの(実物資料)」「ひと(学習者と学芸員)」「ところ(施設)」を備えているという点から、生涯学習概論の履修学生たちには「桜美林学園の”小さな世界の博物館”」と紹介しています。本プロジェクトを博物館ととらえ、 フィールドワークの調査現場として学生たちが本プロジェクトを訪れる機会を提供しています。本プロジェクトを通じて、博物館についての基本的な理解を促しつつ、調査研究に必要な力である正確に情報を得て記録することが、同クラスのフィールドワークのねらいです。また、キャンパス内の施設でエデュケーターから直接話を聴く見学調査に加え、本プロジェクトが地域で開催する出張博物館もフィールドワークのもうひとつの現場です。現実社会におけるさまざまな人々の学び、それを支える博物館の存在意義や役割などを、学生が肌で感じて学びとして深化させることが目的です。

今学期は、4月の下旬(大型連休に入る前)4日間にわたり見学調査を実施しました。各日2,3回の見学調査時間を設け、計40数名の「生涯学習概論」履修生が訪れました。草の根プロジェクトが果たす博物館的な役割や、ほかでは見られないようなアウトリーチ教育活動の実践などについて、エデュケーターより具体的に説明しました。その言葉に耳を傾け、一生懸命メモをとる学生たち。フィールドワークの基本を実践です。授業での学習と本プロジェクトの活動を結びつけながら、自身の理解をより深いものにできたようです。また、本プロジェクトのアウトリーチの現場としては、5月3日・18日にそれぞれパルテノン多摩で開催した出張博物館をフィールドとしました。履修生たちはいずれかの出張博物館を訪れ、博物館が積極的に地域に出向くことで、多様な人々の自由な学びや家庭教育を支えている様子を、自分の目で見て、人々の声を聴き、自らもその楽しさや意義深さを体験することができたのではないでしょうか。来学期も10月にフィールドワークとして同科目に協力する予定です。

「ワークショップ」という学習方法を理解するためのワークショップ体験 人の学びは「ゆりかごから墓場まで」と表わされる生涯学習。人は誰でもみな学習者であり、一生涯にわたって日々の生活のあらゆる物事がその人の学習・学びとなるということです。そのため、学ぶ方法は学校教育にとどまりません。つまり、人が学ぶ方法は多様で無限にあるということがいえます。このような「学習する人・内容・方法」という3つの観点から、生涯学習概論では、「人が学ぶとはどういうことか、人の学びを支援するとはどういうことか」という学びの本質について理解することを目指します。この授業では、学内・外でのフィールドワークを通じて、博物館的機能を果たす本プロジェクトについて知り、その後、実際に本プロジェクトの実物資料を活用したワークショップ型授業を体験する機会を設けています。本プロジェクトの有する実物資料はハンズ・オン(学習者が資料を手に取り、実際に体験することができる展示手法)教材として収集しています。ハンズ・オン教材としての特長を最大限に活かした学習活動を、各地の学校教育や社会教育の現場で20年以上にわたり実践している本プロジェクト。そのチエ・ワザを形にしたワークショップを体験することで、 教員や学芸員を志す学生たちは、学習する人も内容も多様であり、その方法もまた多様なのだという認識を持つことができます。

世界の楽器を活用したアクティビティに挑戦する学生たち。楽器の音を手がかりにして探し出します。

今学期は、学期の中間にあたる5月31日に同科目履修生を対象に世界の実物体験ワークショップを実施しました。 学習者心理や実物資料を活用した協働的な活動がどのようなものかを体験を通して学生が理解できるよう、100分授業の前半は学習者としてワークショップ型の授業を体験してもらいました。後半は、 学習支援者としてワークショップのような協働的な学びづくりを行う立場になり、自分たちが体験したワークショップの仕組みや理論的背景などを授業担当教員でもあるエデュケーターから学習しました。同クラスへのワークショップは、来学期は11月はじめに実施する予定です。

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