毎年3月の第一日曜日に開かれる田名公民館こどもまつり。本プロジェクトの参加は今年で3回目となりました。今回は、やや小さな部屋が会場となったため、小さなスペースでもじっくり楽しめるボードゲームやすごろくに展示資料をしぼった特別バージョンの出張博物館を実施しました。
展示資料紹介
①マンカラ
「マンカラ」は2列に並んだ5~7個程度の小さなくぼみがある板と、貝殻や木の実、ビー玉等の駒で遊ぶゲームの総称です。アジアやアフリカを中心とした地域にこうした共通点を持つ遊びがあり、板や駒の形状・素材・数、さらに遊び方は実に多種多様です。地域によっては、写真に見られるような板ではなく、地面に同様の円を描いたり、掘ったりして遊ぶ場合もあるようです。出張博物館では、アフリカで「ワリ」、「オワレ」、「アワレ」等と呼ばれているルールを紹介しており、今回もこどもたちだけでなく保護者の方も一緒に体験してもらいました。
横で見ているだけでは、どんなルールで遊んでいるのか、何が面白いのか分かりにくいのですが、いったん遊び方を理解してしまえばハマってしまう人が続出します。勝敗は、どちらがより多く駒を集められるかで決まるシンプルなものです。そのため、ルールを理解してよく考えねばならない、年齢を問わず頭をつかって楽しむことができるゲームです。この遊び方は、いずれ本プロジェクトHP動画ギャラリーでご紹介したいと思います。
②ユンノリ
「ユンノリ」は、韓国の伝統的なすごろくで、お正月に親族が集まった時などに楽しむそうです。すごろくは日本でもおなじみの遊びですが、ユンノリは日本で見られるすごろくとは明確に異なる点が2つあります。
(1)駒が4つあること
日本で親しまれている多くのすごろくは、1人のプレーヤーが1つの駒をスタートからゴールまで進めます。しかし、ユンノリは1人のプレーヤーが4つの駒をすべてゴールまで進めなければなりません。また、自分の駒を進めたマスに相手の駒があった場合、相手の駒をふりだしに戻すことができるというルールがあります。そのため、1つの駒をただ出た目の数だけ進めるのではなく、4つのうちどの駒を進めれば有利になるのかを考えなければなりません。
(2)サイコロではなく「ユッ」という棒を使う
ユンノリではサイコロを使いません。上の写真にあるような木の棒を、4本1組で使います。棒の一部は面取りされており、平らな面がつけられています。4本同時にユッを投げ、曲面と平らな面が出た数の組み合わせで駒を進める数が決まります。
曲面:平面の数→進める数
平面×0:曲面×4→5
平面×1:曲面×3→1
平面×2:曲面×2→2
平面×3:曲面×1→3
平面×4:曲面×0→4
4と5のゾロ目の場合は、もう一度ユッを投げて自分の駒を進めることができます。また、相手の駒と同じマスに止まり、相手をふりだしに飛ばした場合には、もう一度ユッを投げ、プレーできます。
こうした特徴から、ユンノリには運だけでなく思考も求められます。そのため、2対2のチーム戦とすることで、仲間のプレーヤーと相談しながら楽しむこともできます。今回は友達同士や親子でワイワイガヤガヤ楽しむ様子が見られました。
③へびとはしご
へびとはしごもマンカラと並び、出張博物館ではおなじみのすごろく遊びです。この遊びはインドで発明され、お隣のネパールなどにも広がり、さらにはイギリスを通じて世界中で親しまれています。
へびとはしごには、スタートの「1」からゴールの「100」まで数字が入ったマスが描かれています。盤面上には2つのマスをつなぐように「へび」と「はしご」のイラストがあります。「へび」の頭が載っているマスに止まると、しっぽのまで落ち(戻ら)なければなりません。一方、「はしご」の下がかかっているマスに止まると、はしごのてっぺんのマスまで登る(進む)ことができます。ルールが非常にシンプルなため、小さな子どもたちでもすぐに楽しむことができます。
④シャガイ
「シャガイ」とは、羊の「距骨(くるぶし)」の骨のことを意味することばで、モンゴルの遊びです。シャガイは直方体のような形をしており、サイコロのように投げたとき、その4つの面のどこが上になったかを見て遊びます。4つの面はどれも形が異なっており、それぞれに「馬」、「羊」、「山羊」、「ラクダ」というモンゴルの主要な家畜の名がつけられています。これを使い、すごろくやおはじきのような遊びや簡単な占いして楽しまれています。
【すごろく】
シャガイをいくつか1列に並べて、すごろくのマスにします。プレーヤーは1人1つシャガイを駒として持ちます。サイコロとなるのは4つのシャガイです。プレーヤーはその4つのシャガイ持ち、サイコロのように投げます。このとき、「馬」の面が出た数だけ自分の駒を進めることができます。このようにして一番早く駒をゴールまで進めた人が勝ちます。
【おはじき】
たくさんのシャガイを持ち、床に投げます。シャガイが散らばった状態で、同じ「動物」のシャガイをねらってシャガイを1つ指ではじきます。例えば、「馬」は「馬」、「山羊」は「山羊」に当てなければなりません。ねらったシャガイに命中すれば、それは自分のものになります。たくさんのシャガイを取った人が価値となります。散らばった状態のシャガイをよく観察し、どこにどの動物がいるかをよく探さなければなりません。
【占い】
すごろくと同じように、4つのシャガイを同時に投げます。そして、4つのシャガイがそれぞれどの「動物」かを見ます。その組み合わせで運勢を占います。例えば、最も良い運勢とされるのが、4つ全てが「馬」になったときです。
また、今回はキッズファンクラブパスポートのポイント対象のミッションとして、「2つ以上の遊びを体験する」にチャレンジしてもらいました。そして、この日のミッションにより、パスポートのポイントが5ポイントに達した子どもたちが2人現れました。本プロジェクトの手作り「カンカラコマ」をプレゼントしました。カンカラコマは、本プロジェクトが所有するインドネシアの竹のコマをモデルに空き缶で手作りしたものです。専用のスティックと紐を使用して簡単に回すことができます。
今年度の出張博物館はすべて終了しました。来年度も本プロジェクトは、町田・相模原周辺の地域で出張博物館を実施します。開催情報はこのホームページやFacebookページでお知らせいたします。ぜひお越しください!