草の根プロジェクトは、今年度9月までにアウトリーチ教育プログラムとして、各種のワークショップを35回実施しました。内訳は下記の表の通り、学内では授業との連携のほか学内向けの公開ワークショップを24回実施のべ434名、学外では学校の授業のほか、小学生向けの社会教育的な取り組みや教員研修として計12回のべ387名を対象に実施しました。
この記事では、ここまでどのようなワークショップを行ったのか、学外と学内に分けてその概要をご紹介します。
クライアント種別ワークショップ実施回数・参加人数集計
2022年度9月までに実施したアウトリーチ教育プログラム
学外で実施したワークショップ
Zoom等のオンライン会議サービスを活用した学びづくりの機会を重ねられているようで、昨年度と比べると、学外の教育現場のみなさまからお問い合わせを多く頂くようになっています。これまでもご依頼を頂いてきた近隣の小中学校の授業や子どもたちを対象とした社会教育におけるワークショップのほか、新たなクライアントとして全国の私立小学校の教頭先生を対象としたワークショップ(8/19)を行いました。
ワークショップの形:オンラインから対面まで
2019年度末(2020年2月)より対面型のアウトリーチ教育プログラムを休止し、2020年度より草の根オンラインワークショッププログラムを教育支援の基本的な手段とし、新しい学びづくりを模索してきました。緊急事態宣言が解除となった2021年度秋からは、実施会場や参加人数などの状況・環境に応じ、エデュケーターのみが現場を訪問する形態をとってきました。
今年度春からは、限定的ではあるももの、実物資料を活用したアクティビティを再開しました。対象者が20名程度までの少人数であること、参加者間の距離が十分にとれる広さと換気が可能な会場であること、手洗い・うがい・手指消毒等の対策準備が万全であることなど、感染予防対策について相談・確認を重ねることで、慎重に実施しています。
8/21・8/28・9/3に実施した綾瀬市フレンドシップキッズ研修では、8名の子どもたちを対象に、久しぶりの遊び道具を活用したワークショップを実施しました。この研修では、厚木基地内の小学校に通う子どもたちとの交流を目的に、異文化コミュニケーションについて体験的に学ぶ機会を提供しました。
この研修を担当するのは2年目です。昨年度は残念ながら、すべてオンラインでのワークショップとなりました。今年度は世界の遊び道具を活用したアクティビティにより、初対面の子どもたちを結びつけ、普段なんとなくしている「コミュニケーション」を捉え直すアクティブ・ラーニングに巻き込むことができたのではないかと考えています。はっきりとした共通の目的を持つ子どもたちの集団に対して、複数回にわたって継続的に対面型でワークショップを行ったことは、本プロジェクトにとっても大変貴重な機会となりました。綾瀬市フレンドシップ研修の活動報告については、後日詳しくお伝えいたします。
学内で実施したワークショップ
本学では、対面授業を基本とし、オンラインで出席する学生に合わせたハイブリッド授業も行われました。本プロジェクトが学内の教員からの依頼に応じて実施するワークショップにおいても感染予防に配慮しつつ対面型のアクティビティを再開しました。学内での対面型ワークショップは2019年度以来2年ぶりとなり、本プロジェクトにとっても懐かしく刺激的な教育支援となりました。
特に、リベラルアーツ学群1年生の必修科目である「リベラルアーツセミナー」では、17クラス約を対象にワークショップを実施しました(4/21〜6/13)。対面型が再開した今年度からは、同科目における学習目標をより明確化し、以下の2点に重点を置いたアクティビティを軸に、ワークショップをデザインしました。
・目標1:文化の多様性に触れつつ、批判的思考を実践する機会とすること
・目標2:学習コミュニティとしてクラス内の関係性構築を促進すること
他の授業においても、それぞれの授業におけるねらいを整理することで文脈に応じたワークショップを提供し、体験とコミュニケーションをクラス内で生み出し主体的な学びの実現に取り組みました。
学内においては、さらにリベラルアーツ学群博物館アウトリーチ教育研究会と連携し「ワールドゲームカフェ」と題したワークショップ形式のイベントを対面型で実施しました(7/13)。これは、桜美林大生を対象に開催したもので、本プロジェクトが有する世界各国のボードゲーム体験を中心に、学生間のコミュニケーションを活性化し関係性の構築を促すことを目的としています。本プロジェクトがこれまで多様な教育現場で蓄積してきたチエ・ワザを学内に還元する試みです。この「ワールドゲームカフェ」についても、後日ご報告します。
2022年度後半にむけて
年度初めから夏は学内の授業から、秋から年度末は学外の学校を中心とした教育現場のみなさまから、それぞれご依頼を多くいただきます。この夏休みの間にもすでにさまざまなお問合せやご依頼をいただいています。まだまだ安心・安全とはいかない状況下にあります。新型コロナウィルスの感染予防を第一に考え、依頼内容や実施環境に応じて、オンライン/対面それぞれの特徴を活かした教育支援活動に、引き続き取り組んでいきます。