【報告】世界の実物体験ワークショップ(青梅市国際理解講座):2019年6月22日(土)

6月22日(土)に青梅市教育委員会国際理解講座にて、世界の実物体験ワークショッププログラム(以下、実物WSP)を実施しました。同講座では2015年度から5年連続でご依頼を頂いています。本プロジェクトは、同日に加え、7月13日(土)の2回の講座を担当しました。今年度も小学5年生のクラスと小学6年生から高校1年生までのクラス、計2クラスを対象に、両日ともそれぞれのクラスでワークショップを行いました。1回目の6月22日(土)では、本プロジェクトのワークショップメニューの中より、5年生クラスには「世界のコマの回し方クイズ」を、6年生以上のクラスには「世界の楽器体験」をそれぞれ実施しました。今回はこの実物WSPについてご報告します。2日目の7月13日に実施した留学生との活動については近日中にご報告します。どうぞお楽しみに!

小学5年生: 世界のコマの回し方クイズワークショップ

今回の5年生のクラスの受講児童は28名。はじめに、ワークショップを行うエデュケーターと草の根プロジェクトに関する自己紹介を行い、ワークショップのねらい(学習目標)を共有しました。その後は、早速、世界のコマの回し方クイズです。今回は、本プロジェクトが集めた世界各国のコマの中からインドネシア、スペイン、タイ、トルコ、日本、メキシコのものを選んで使用しました。

世界の多様なコマを活用したアクティビティ

はじめにクラスのこどもたちを3〜4名のグループに分け、グループに2点ずつコマを渡します。コマを受け取ったこどもたちは知恵を出し合い、実際に手を動かしながらコマの回し方を考えます。こどもたちはそれぞれ自分の気づきや考えを伝えつつ、お互いに耳を傾けながら試行錯誤することで、コマ回しに取り組みます。コマは、日本で育つ多くのこどもたちにとって身近なものですが、ここで出会うコマは彼らが親しんできたコマとは形も遊び方も異なります。
トルコのコマの回し方を考える

グループで試行錯誤した後、エデュケーターがコマの回し方を紹介すると、どの子もみんな興味津々の様子でした。その後は、実際にコマを回すチャレンジタイムです。回し方の紹介を目の前で見て聴き、理解できたと思っていても、実際に自分自身の手でコマを回せるかどうかは別問題。「さあ、ここからは、グループ全員がコマを回すことができるようになろう!」と呼びかけました。グループに戻ったこどもたちは、コマを実際に回そうと一生懸命です。説明だけではすぐにうまく回せない場合もありますが、こどもたち同士お互いに助け合いながら、コマ回しを楽しみました。全員がマスターしたグループは、他のグループとコマを交換し、別のコマにも挑戦しました。

小学6年生〜高校1年生: 世界の楽器の音クイズとアンクルンの合奏ワークショップ

楽器の音クイズで使用した楽器群の一部
リピーターが多いこの講座。受講歴が最も長いと、小学校5年生から高校1年生まで6年間続けて参加するそうです。そのため、私たちが担当するワークショップの活動内容が毎年重複しないよう、より大きなこどもたちを対象にしたクラスでは、毎年アクティビティを入れ替えなければなりません。今回は5年連続ということで、青梅市国際理解講座では始めて世界の楽器を活用する「世界の楽器の音クイズとアンクルンの合奏ワークショップ」を実施しました。こちらも5年生のクラスと同様に、イントロダクションを行なった後、3〜4名のグループに分かれて前半の楽器の音クイズを行いました。

本物の楽器の音を聴き、観察し、音を出す

これは、本プロジェクトが持つ多種多様な楽器を用いて、音だけを頼りに、その音を発する楽器を探し出す、というものです。こどもたちは床に座って目を閉じ、エデュケーターが鳴らす楽器の音色に耳を澄ませます。その後、エデュケーターがその楽器を他の楽器群の中に隠します。こどもたちは立ち上がり、自分たちが聞いた音を発した楽器を探し出します。自分の考えをグループのメンバーに伝え、またメンバーの考えをききます。こどもたちはグループの考えとして、ディスカッションで導き出した予想を発表します。その後は答え合わせです。自分たちの予想と本当の楽器の正体、楽器の音と見た目のギャップ、音の鳴らし方などに、こどもたちは驚きます。音の正体の楽器を確認した後には、実際に楽器体験をします。どうやったらその音が出るのか、他の楽器はどんな音がでるのか、みんなで自由に楽器に触れ、その多様性を感じました。
 
自分たちの知る楽器や音をもとに、音あてをするこのゲーム。「自身の知っていることだけでは通用しない」つまり、「自分のあたり前は絶対ではないんだ」という実感をこどもたちは体験します。また、楽器を探し出す際は、楽器に触れることができないぶん、いろいろな角度から注意深く観察をしなければなりません。前後、左右、上下、すみずみまでよく観察するためには、足を動かして様々な位置から見たり、体を動かし、時にはかがんだり、床に伏せるようにしたりして、視覚的な情報を一生懸命収集します。これが、多角的・複眼的に物事を見て、じっくり考えるということにつながります。
楽器を観察して相談するこどもたち

実は、この音クイズのあと、インドネシアの楽器「アンクルン」を使った合奏にチャレンジする計画でした。しかし、今回はここでタイムアップ!時間切れとなってしまった要因として、学校の1クラス(約30人前後)と比べると、この日の参加者は40名ほどであったこと、こどもたちの年齢差、それに伴う発達段階の違いがあったこと、そして複数の異なる学校の児童・生徒でスムーズに協働できる関係性が構築できていなかったことなどが考えられます。大変残念でしたが、このアンクルンの合奏チャレンジは、同講座では来年度以降にワークショップに組み込みたいと思います。

未知の物と出会い、ゲームを通して協働して学ぶワークショップ

このように、ワークショップを通じて未知の物に向き合う課題にグループで協働的に取り組むことは、学校生活だけでなく、今後の社会生活においても求めらることでしょう。「どうやったら、このコマは回るんだろう」「あの音はどんな楽器から出たんだろう」「どうやったら、どんな音が出るんだろう」と、子どもたちの知的好奇心を刺激することで、こどもたちが主体的に他者と協働して取り組む課題にチャレンジする機会となるでしょう。

それぞれのワークショップやねらいについて詳しくはワークショップメニューの紹介ページをご覧ください。

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