【報告】春学期リベラルアーツセミナー(桜美林大学リベラルアーツ学群初年次必修科目)対象の世界の実物体験ワークショップが終了しました

新入生 計24クラス297名が訪れました

7月1日(月)に本学リベラルアーツ学群の授業「リベラルアーツセミナー」を履修している学生と担当教員が本プロジェクトを訪れ、本プロジェクトの活動内容を紹介しました。この授業は新入生の必修授業として、本学での学びにおいて求められる基本的な知識や学習スキルを習得することを目的としています。14〜15名程度と少人数制のこの授業では、教室の外に出て学内のさまざまな施設を訪ね、実地で学ぶ学習活動も取り入れられています。 本プロジェクトでは、このリベラルアーツセミナーの見学を毎年4〜6月にかけて受け入れており、本プロジェクトの活動内容を実物を用いたアクティビティを交えながら紹介しています。7月1日(月)が今学期最後の見学受け入れとなり、ここまで計24クラス、297名が本プロジェクトを訪れました。

体験して理解するアウトリーチ教育プログラム 〜多種多様な物と出会う触察伝言ゲーム

リベラルアーツセミナーの見学では、本プロジェクトの活動概要を簡単に説明した後、実際にワークショップで実施している「触察伝言ゲーム」を学生と担当教員みなさんに体験してもらいます。このゲームでは、はじめに1クラスを3〜4名ずつのグループに分け、さらにグループ内を2つに分け、触察係と発見係という役割をそれぞれに与えます。そして、ここで各グループに登場するのが「触察ボックス」です。段ボールの側面に腕を通す穴をあけ、内部が見えないように加工した、手作りの活動道具です。各触察ボックスには、事前に実物資料コレクションから選んだものを1点ずつ入れておきます。
触察ボックス〜手前のアームカバーから手を入れて中にある物を触察します(昨年作ったものを計40回以上使用しているためやや傷んでいます)
世界の太鼓
世界の弦楽器(上段)・世界の打楽器(下段)
二人の触察係は交代で触察ボックスに手を入れ、中にある物を触察していきます。触察を終えたら、触察ボックスは回収します。学生たちは全員、机に伏せて目を閉じ、エデュケーターは回収した触察ボックスより取り出した資料を展示物の中に紛れ込ませます。アウトリーチ教育プログラムでは、現場に持ち込んだ限られた資料を使用しますが、ここでは、本プロジェクト内に展示してある全ての資料を活用することができます。
 
さあ、いよいよ伝言タイムです!触察係は発見係に自分が触察した物の特徴を伝えます。発見係はこの伝言を頼りに、たくさんの実物資料の中から自分のグループの触察係が触察した資料を探し出します。全グループが「これだ」と思う物を探し出したら、各グループの発見係が何を選び、なぜそれを選んだのか、全体で共有します。発見係が見つけ出した物を触察係が見ると、「これ、これ!これで間違いないよ!」あるいは、「え〜、これだったっけ?」など、伝言をもとに発見係が見つけた物を見て自然とさまざまな感想の声が聞こえてきます。

ゲームを通して学ぶ多様性と協働

ここで、なぜこうしたアクティビティを児童・生徒を対象とした教育現場で行うのかについて説明します。触察伝言ゲームでは、子どもたちの生活においても身近な物を活用します。遊び道具や楽器等を中心に、先入観を持たずに触察したり、観察することで強く興味・関心を刺激します。こうした活動を通じて未知の道具を手にすることで、多種多様な物が存在し、それらを生み出す豊かな人間の創造性に気づくことができるでしょう。また、このアクティビティで発見係が正しい物を見つけ出すには、伝言タイムのコミュニケーションが大きな鍵となります。触察係は、発見係が多くの物の中から判別できるよう、具体的な情報をできるだけ多く、そして言葉を選びながら、情報提供しなければなりません。また、発見係は、触察係から得られた情報を活かせるように、もし腑に落ちない部分があれば、触察係に問いかけたり、疑問点をできるかぎり明確にする必要があります。さまざまな感覚体験を交えつつ、こうしたコミュニケーション活動を重ねながら実践する触察伝言ゲームは、グループの仲間と協働的に問題解決に取り組むとき、どのようなことが求められるかを学び取る機会となります。
 
リベラルアーツセミナーの見学では、本プロジェクトは桜美林学園の社会貢献の学内組織で、その方法は触察伝言ゲームのようなアクティビティを学内外の教育現場へ直接提供することだと、体験参加型の紹介を行っています。この触察伝言ゲームの体験は、初年次学生の本プロジェクトに対する理解促進にとどまらず、彼らの活発なコミュニケーションを活動にもなっています。このようなことから、入学したてでお互いをあまりよく知らず、学生生活も慣れていない新入生同士の信頼関係の構築の機会にも貢献しているようです。

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