10/24(水)神奈川県・相模原市立谷口小学校 6学年「総合的な学習の時間-国際理解教育」(60分)
同校でのワークショップは今年度が初めてでした。同校6学年の先生が総合的な学習の時間における国際理解教育について計画しているなかで、私たち草の根プロジェクトのことを知り、ご相談をいただきました。本プロジェクトでは、これまでに連携・協力した学校/社会教育等の現場に限らず、町田・相模原市の小中学校すべてに資料をお送りしています。また、各現場での活動報告についてもホームページでお知らせしています。そのような情報をキャッチしていただき、双方の活動のねらいや主旨などがマッチした結果、今回ワークショップを実現することができました。現場の先生や関係者の方々の開かれた目、そして、未知のこと・新しいことに関心を持ってアクセスしてみる開かれた心。学びづくりの鍵と言えるのかもしれません。
この日の留学生は、本学学群(学部生)に所属するモンゴル・中国・ベトナム出身の学生たち。彼らは、草の根プロジェクトの学生メンバーとしての活動経験が豊富で、活動のことはもちろん、互いのこともよく理解し、尊重して助け合って活動できる関係を構築しています。そのチームワークは、子どもたちや先生方から見えない活動の裏側でも発揮されます。エデュケーター(教職員)の細かな指示・指導がなくとも、ワークショップに必要な道具をたくさん詰め込んだスーツケースの運搬からワークショップの会場づくり、終了後の会場の現状復帰まで、3人で協力して考えながら短い時間でできてしまいます。彼らは、子どもたちにとって、異なる背景の仲間を受け止め、互いに尊重し、ひとつの目標にむかって協働するモデルだと言えるでしょう。
子どもたちは元気いっぱい気持ちのよい挨拶で出迎えてくれました。どんな言語であっても、挨拶は人と人とをつなげるはじめの一歩です。そんなあたたかい子どもたちと始めたワークショップですが、まずは、自分たちが暮らす相模原市、そして神奈川県がどのような地域であるかということに目を向けてみました。相模原市は外国籍住民によって人口増加が保たれている状況です。そして、神奈川県は外国籍住民数が4番目に多い自治体(平成30年度6月末現在)です。つまり、この日の子どもたちは多文化・多言語共生の地域に暮らしているのです。実際に、同校には外国につながる家庭の子どもたちもいます。
自分たちの学校や地域の実態について知り、世界とつながりながら生活しているということに気づいた子どもたち。次に私たちが伝えることは、「世界の国々や言語などを何でも知っている『ものしりはかせ』になるのではなく、自分も他の人のことも大事に思って知ることができる『人間はかせ』になろう」ということです。そして、そのために必要なことは何かをみんなで学ぼうと投げかけ、ワークショップでのみんなの目標として「たしざん」と「かけざん」を掲げます。実は、これが「人間はかせ」に必要な力「聴く」(たしざん)と「協働」(かけざん)なのです。子どもたちはこのふたつのことを強く意識し、留学生やエデュケーターに耳を傾けていました。その表情はとても豊かで、時には驚きや納得のあいづちやことばなども返してくれました。
ワークショップの最後には、留学生が子どもたちに加わり、協働を実践するアクティビティに各クラスでチャレンジしました。これは、モンゴルの身体遊びのような活動で、特別な道具や運動能力などを必要とせず、全員で手をつないで体を動かす、ごくシンプルなものです。現地では子どもたちが集団で何かひとつのことに取り組んだあと、自分たちの頑張りをたたえたり、絆をさらに深めたりするアクティビティだそうです。しかし、これは単なる外国の身体遊びという位置づけで紹介しているわけではありません。この遊びには、ひとりひとりが自分の両隣の人のことはもちろん、手をつなぐ全員の仲間を思いやりながら動くことや、互いをよく見合い、声をかけ合うことなどが求められます。まさに、「聴く」と「協働」です。この大切なふたつのことを身をもって理解することができるアクティビティです。この日の子ども達にも実感してもらえたのではないでしょうか。