アウトリーチ教育プログラムのワークショップメニュー

草の根プロジェクトによるワークショップで目標とすること

草の根プロジェクトが特に力をいれて取り組んできたのが、ヒトやモノを学校や社会教育施設において活用するワークショップ(学習者が学びの主体として参加する体験を重視した学習活動)です。草の根プロジェクトのワークショップにに共通するのは、人や物・事の多様性の理解と、そのために必要な「聴く+協働」という2つのねらいです。これは、国際/異文化理解、あるいは他者/相互理解の学習の目標にもつながります。  

この2つの力は「異文化間能力」を支える柱です。これは、急激なグローバル化・ボーダーレス化、人や物事の多様化・複雑化が進み続ける今日を生きる力です。自分とは異なる、あるいは未知の人・物・物事に出会ったとき、自分の判断基準ではない客観的でクリティカルな視点でその対象を捉え、自らの対応を思考・判断する力が不可欠です。これが異文化間能力です。異文化間能力は人間的な資質・能力であり、生まれてから死ぬまでの生涯発達のなかで育まれると、草の根プロジェクトは考えます。異文化間能力は豊かな感受性と柔軟な思考から成り立ちます。自らの五感を刺激する体験によって「感じる→考える」が促進され、異文化間能力の涵養につながります。

ワークショップでどんなことができるのか?
「ワークショップメニュー」でご紹介します。

こうしたねらいにもとづき、草の根プロジェクトは、数多くの実践に取り組む中で、多種多様なアクティビティを開発しその効果や適した条件等をノウハウとして蓄積してきました。そこで、 各プログラムにおけるワークショップでどのような体験をすることができるのか示すことができるよう、学習者の発達段階や環境等に応じたワークショップメニューを公開しています。

メニューはこれまで数多く実施してきたワークショップの内容を整理してモデル化したものです。草の根プロジェクトのワークショップでどのような活動ができるのか、より具体的に検討するための事例集としてご活用ください。もちろんメニューの通りにしかできないというわけではありません。実際には、依頼内容、対象者、人数、所要時間、会場等の諸条件に合わせて柔軟に新たな内容を提案することも可能です。

5つのアウトリーチ教育プログラムと「ワークショップ」プログラムのパッケージメニュー化

のワークショップメニュー

のワークショップメニュー

のワークショプメニュー


発達段階ごとにおすすめする
ワークショップメニュー

小学校低学年から

例えば、いろいろな生活体験を通じて感受性を育む時期にある低学年には、世界の遊び道具を思いきり楽しむワークショップがおすすめです。子どもにとって親しみやすい、 こま・けん玉・すごろくなどを通し て多様性に触れることができます。 生活科の昔遊びの発展、3年生から始まる総合的な学習の時間における 国際理解の学びへの橋渡しにもなる でしょう。

そして、集団活動の力がついてきたら、グループワークで構 成されたワークショップへ移行して いくとよいでしょう。世界の遊び道 具を素材にした課題に生活班などで チャレンジします。他者を認めて協働する素地を楽しみながら伸ばして いきます。

小学校高学年から

高学年になると、徐々に抽象的な 思考や他者の視点に立った物事の理解などができるようになってきます。また、集団活動の意義を理解し、 共通の目標を達成するために主体的 に関わる力も伸びてきます。留学生によるワークショップは、この段階 から取り入れるのが望ましいです。 背景の異なる留学生の視点をもとに、価値判断の尺度を高める学びの 機会となることでしょう。ものの見 方や考え方の広がり・深まりは、中学校という新しいステージへ進む子 どもたちに獲得してほしい力です。

 

中学・高校生から

その後、思春期になると、子ども たちは内省的になる一方、現実との間で悩むようになります。そして、思春期を過ぎると、一人の人間としてどう生きていくかを、より現実的な課題として考えるようになりま す。

この時期の子どもたちには、少し年上の先輩として留学生に出会い、彼らのライフヒストリーに耳を傾ける場・機会を届けたいと考えています。て 中高生は、親や教師の言葉には素直になれなかったり、進路を考える さまざまな材料を求めたりしますし、また個人差も非常に大きくあります。このワークショップでは、留学生の文化的背景にも触れながら、 その生い立ちや経験・学び、思いや考えを伝えることで、子どもたちに自らのあり方について省察するきっかけを提供します。

また、学校教育ではできないような体験学習、年齢・学年、学校など の枠を超えた交流学習ができるのが 社会教育です。この利点を活かして 実施するのが異文化協働体験ワークショップです。ご依頼いただく各現場の対象者や実態、要望などをうか がいながら企画・実施します。 このように発達段階・課題を考慮 しながら、「多様性の理解」と「聴く+協働」の育成を目指したワークショップをメニュー化します。

ただし、これらはあくまでも目安であり、各学年の決まった型ではありません。実際、本学の授業においても、各科目のねらいに合わせてワークショップを実施しています。現場や対象の実態に応じた学びづくりが大切です。そのため、実施を希望す る現場のみなさんとの十分な事前の打合せ、共通理解の共有、相談・準備段階から実施・終了までの積極的な協力・連携が不可欠となります。 多様な子どもたちが感じて考える学びづくり。学校や社会教育の現場のみなさんと一緒に取り組んでいけることを心より願っております。

ご依頼の方法のほか、FAQもございますので、関心をお持ちの方は各ページをぜひご覧ください。