実際に博物館に足を運んで展示を見るという方法が一般的ですが、近年ではさまざまなテクノロジーが発達して、博物館の利用方法や楽しみ方も変わりつつあります。
正確には、変わりつつあるというより、新しい楽しみ方が付加された、といった方がいいかもしれません。
では、どのような新しい楽しみ方があるのでしょうか。いくつかご提案します。
SNSで情報交換
まずは、SNSを活用するということです。
最近では、SNSを利用して、展覧会やイベントなどを広報する博物館や美術館が増えてきました。全国科学博物館協議会の調査によると、もっとも多く利用されているのがFacebookで、Twitter、Instagram、YouTube、LINEと続いています(『全科協News』49号、2019年)。
多くの博物館がSNSでお互いのアカウントをフォローし合って、展示品やイベントなどの情報を共有したり、投稿を拡散し合うことで多くの人に新たな情報を伝えたりと、これからの主要な情報源になっていくことでしょう。(吉田)
スマホの活用
スマートフォンの活用も、博物館の利用方法を大きく変えつつあります。
まず挙げられるのは、展示の詳しい解説を行うサービスです。QRコードを読み込ませたり、専用のアプリをインストールすることで、展示物の詳しい解説を見たり聴いたりすることができます。外国語の対応もしやすいので、インバウンド(訪日外国人)へのサービスにも適しています。
また、AR技術を使って、スマホの画面に人物が浮かび上がったり、当時の町並みを再現させるようなものもあります。動物園・水族館では、写真を撮って自分だけの図鑑を作るようなアプリがあり、さらには、スマホをかざすだけで生き物の種類が瞬時に分かるなどのアプリが登場して話題になりました。
新しいテクノロジーが博物館利用のあり方を変えつつあるといえるかもしれません。(吉田)
バーチャルミュージアム
バーチャルミュージアムとは、インターネット上に展開されている「仮想の博物館」のことです。
リアルの世界には実在しないインターネット上だけの博物館もありますし、実際の展示室をインターネット上に展開して擬似的に歩けるようなサービスもあり、バーチャルミュージアムといってもそのバリエーションはさまざまです。
特に、Googleが展開している「Google Arts & Culture」は、世界80ヶ国、2,000を超える博物館が収蔵している資料の高精細画像を見ることができ、さらには、ストリートビューの技術を活用し、展示室内をバーチャルに散歩することもできます。まさしく、自宅にいながらにして、世界中の博物館を旅することができるのです。
国内では、国立科学博物館の「かはくVR」がよく知られています。
新型コロナウィルスの影響によって、思いがけず「おうち時間」が増えました。これに対応して、日本の博物館では、「おうちミュージアム」という取り組みが全国で始まりました。北海道博物館のよびかけで始まり、さまざまな博物館が参加しています。(林)