産業研究所設立趣意
本研究所は、桜美林大学経済学部創設10周年を記念する事業の一つとして企画され、産業問題を国際経済次元から企業経営次元に及ぶ広汎な視野において研究することをその基本的な目的として設立されたものです。
本研究所は、桜美林大学経済学部における過去10年間の研究・教育経験を踏まえ、その成果をさらに発展させるとともに、わが国の産業社会の発展に聊かながら貢献しようとするものです。
本研究所が目指す産業問題の分析を中心とする社会科学の研究が、今日の内外の研究水準の下で具体的な成果をあげうるためには、諸問題の広域的な構造分析や国際比較(史)的な分析などが不可能となり、また、本研究所の基本的目的が直接かかわる領域は実証研究と現状分析の分野であるとはいえ、その研究の成否を規定するものは社会科学の基本理論、特に経済学の理論的な研究であるといえます。したがって、本研究所の共同および個別の研究は、広く理論および実際を踏まえ、これを総合的に推進するものでなければなりません。
利用案内
利用対象者
→教職員、大学院生および所長の許可を得たもの
※学生に関しては、来所する際に指導教官の紹介と許可を得てからとなりますのでご注意ください。
図書利用
→閲覧は可能です。帯出は利用内規として許可されておりませんので研究者用コピーカードをご持参なさられて所内のコピー機をご利用くださいますよう、あしからずご了承ください。
開室時間(閉室日:土、日・祭日) →9:00〜16:00
研究所の場所 →碩学会館1F
研究の中心分野 : 「東アジア地域における経済自由化と産業の持続的成長」
「研究概要」
最近のアジア経済の失速を受けて、アジア的家族経営、財閥主導型経営、土地本位制経営など、いままでアジア企業が強みとしてきた、経営システムそのものの問題点が指摘され始めてきている。さらに最近では、政府の産業政策も改めて問い直されている。
とはいえ、アジア経済やアジア企業の限界を論じるときには、アジア経済やアジア企業の経営行動とは何なのかをまず明らかにしなければならない。また、アジアと言っても、どの地域の国や経済、または企業に分析の焦点を当てるかによっても、経済の特性や企業の経営行動特性も異なってくるであろう。
そこで、我々は東アジア地域の経済発展と企業行動に分析の視点を絞り込むことにする。
現在、東アジア地域の経済も、アジア経済全体が失速する中で、その成長度を弱めている。そこで、あらためて過去の経済成長を振り返ることで、今まで成長の基盤を創り出してきた要因の中で、なにが今日の経済環境との間で不適合を起こしているのかを解明しようというわけである。というのも、このような環境不適合要因を解明することが、東アジア地域の経済と企業に新たな成長ステップをつくりだす機会になると考えるからである。
東アジア地域の経済発展が、なぜ持続的に成長してきたかをミクロ、ならびにマクロレベルの両方から分析することが、この研究の主要な狙いである。マクロレベルの視点からは、各国の産業、経済政策を時系列的に調べ、昨今の経済環境に、どのような政策が経済を再成長路線へと転換させる可能性を持っているかを解明する。
もう一方では、ミクロレベルの視点から、企業がどのように国の政策を取り込みながらグローバル戦略を展開し、成長してきたかを解明することで、あらためて経営の強みと課題を浮き彫りにする。
このようになミクロ、マクロの両方の視点から分析をすることで、東アジア地域の持続的な経済成長のエッセンスに接近することが可能と考えられる。