化石解説

サンゴ アンモナイト ベレムナイト 
二枚貝 巻貝 厚歯二枚貝


サンゴ

サンゴは古生代はじめに出現し,現在に至るまで海に生息し, 腔腸動物花虫網に属する。床板サンゴ目,四射サンゴ目,六射サン ゴ目,八射サンゴ目に大別される。

 床板サンゴはサンゴの仲間で最も古く,古生代はじめに出現し,古生代末にほとんど絶滅したが,一部新生代始新世まで続く。日本のシルル紀の代表的な化石である。天神コアの外壁に見られるハチノスサンゴはこの仲間で,蜂の巣形の群体をなし,管状の個体が互いに密着して,横断面での管は多角形である。

 四射サンゴは古生代オルドビス紀に出現し,中生代はじめに絶滅している。古生代の化石にまじって,大理石中によく見かける。六射サンゴは個体が六の倍数を基本とする放射状の隔壁を有するもので,八射サンゴとともに中新生代に繁栄している。

残念ながら今回の調査では,四射,六射,八射の三者を明確に区別できるほど完全な形のサンゴは見つかっていない。

アンモナイト

 黄褐色や赤褐色のイタリア産の大理石中に見られる。大型化石で,誰でもすぐに見分けられるので,大理石中の化石の中で最も目立つものである。

 アンモナイトは古生代中頃にその祖先型が出現し,中生代に繁栄して,その末に絶滅した。イタリア産の大理石中に見られる理由としては,当時,アルプス山脈やその南側の地域は深い海で,そこに石灰質の泥がたまり,時折アンモナイトの遺骸が紛れ込んだためと考えられる。

 アンモナイトは軟体動物頭足類に属し,現生のオウムガイに似て,隔壁によって多くの室に分かれ,殻口に近い最終の大きい室に軟体部がおさまる。隔壁と殻表との交線(縫合線)の構造は進化学習に役立つが,大理石の表面に縫合線がうまく現れたものは,今回の調査では見つかっていない。

べレムナイト

 大理石中に細いすじの多く入った長さ数cmの細長い楕円形状のものや,同心円状のすじの入った直径1cmくらいの円形のものが見られることがある。これがべレムナイトで,アンモナイトと同様に頭足類に属するが,こちらはイカの祖先にあたる。体内に殻(甲)を持ち,その一部の鞘が化石として大理石中に見られる。大理石面ではその長軸方向に直角に切った断面が円形,斜めに切った断面が細長い楕円形状として現れる。古生代石炭紀に出現し,中生代ジュラ紀・白亜紀に繁栄し,新生代はじめに絶滅した。

二枚貝

 二枚貝は硬い殻を持っているが,体の中に骨が無いため軟体動物の仲間とされる。この硬い殻により身を守りやすく,古生代から現代まで大繁栄した。そのため,化石としても多く大理石中に見られる。

巻貝

 二枚貝と同様に硬い殻を持っているが,軟体動物の仲間である。殻を巻くことによって水圧や衝撃に強い構造となっている。二枚貝と同様に古生代から現代まで大繁栄し,化石としても大理石中に多く見られる。

厚歯二枚貝

 アイスクリームやソフトクリームを入れるコーンに蓋がついたような形をしている。しかし,その厚さはきわめて厚く,数cmある。この厚さは,貝殻に穴を掘って住む生物から身を守るためであったようである。