【報告】国際学生訪問ワークショップ(神奈川県立相原高校):2019年5月29日

2019/5/29(水)神奈川県立相原高等学校総合ビジネス科3年生(60分) 

「国際理解教育支援」という大きな看板を掲げる私たち草の根プロジェクト。実は、子どもたちが人生を考える学びのお手伝いにも携わっています。今回はそんな大変ユニークなワークショップの報告です。

さる5月29日(水)本学キャンパスに20数名の高校生がやってきました。神奈川県立相原高等学校総合ビジネス科の3年生です。草の根プロジェクトが同校の教育活動へ協力を始めたのは、今から14年前にさかのぼります。その頃より、留学生との協働的な交流学習を行っています。なんと100名を超える留学生メンバーが、相原高校の生徒を対象にしたワークショップに参加しました。

さて、通常の国際学生訪問ワークショッププログラムは、ご依頼いただいた学校/社会教育の現場を私たちが訪れて実施します。しかし、同校との学習活動はちょっと違います。高校生たちが本学へやってくる「逆訪問型」なのです。これが、まずひとつのユニークな点です。自分たちの学校=ホームではなく、もしかしたら1年後に自分が立っているかもしれない大学という未知のフィールドへ足を運んでみよう、というねらいがあります。

アイスブレイクや学校文化のクイズ、グループ編成を行うイントロダクション。この後高校生は5つのグループに別れて留学生からライフヒストリーを聴きました。

さらに、活動内容もまたユニークです。「外国人留学生から各国・地域のことを教えてもらおう」とか「外国語(英語)で交流しよう」といった、よくある異文化学習や外国語活動ではありません。「少しだけ年上の先輩。でも、異なる学校文化のもとで学び育ち、それぞれの価値観や信念を持ち、今、親元・ふるさとを離れて頑張っている先輩。多様な背景の先輩たちが、どのように学び育ってきたのか。どのような経緯で日本留学を決め、今に至っているのか。そして、これから、どのような人生を歩もうと考えているのか。自分自身をどのように見つめているのか。」そのような先輩たちの人生の歩みを高校生が直接聴くことで、自分自身をあらためて見つめ、将来を考えるきっかけとすることが目的の授業です。

この日、このワークショップに参加した留学生メンバーは、本学に在籍する正規留学生5名(モンゴル1名、中国2名、香港2名)です。日本の高校へ留学し、そこから入学した者、高校卒業後に直接入学した者、高校卒業後に日本の日本語学校で学んでから入学した者、母国で高等教育・社会人経験を経て、日本語を改めて学習して入学した者。5名の学生にはそれぞれの歩みと、さまざまな思いや目標があり、今に至っています。この活動を通し、高校生たちに自分史を語ることで、留学生たちも自分自身を見つめ直し、他の誰とも違う自分自身を再確認し、その歩みや思いに誇りを持つことができる機会となっています。

このワークショップは、国際学生訪問ワークショップのメニューのひとつ「留学生のライフヒストリー・ワークショップ」です。活動には、草の根プロジェクトの長年のチエ・ワザがふんだんに盛り込まれており、他ではできないような自慢のワークショップ・プログラムです! ただ、その教育的効果を高めるためには、担当の先生との綿密な打合せによって主旨や目的を共有し、相互理解と連携・協力が欠かせません。学習対象となる生徒たちはもちろん、ワークショップを実施する留学生にとっても有意義な学びの場・機会となることが、協働学習を実現させるカギとなると考えています。こちらのワークショップは、この春発行したニュースレター最新号、および本ホームページでお知らせしています。詳しくは、こちらをご一読いただければと思います 。